野菜の産地廃棄セーフガード発動待ったなしの課題
「価格下落の原因は気象による国内生産の増大であり、セーフガードの発動要件に至っていない」(自民党農林水産物貿易対策特別委員会での農水省の石原葵経済局長の発言)。なんとかの一つ覚えのように、かたくなにセーフガードの発動を拒む一方で、タマネギ、キャベツを産地廃棄に追いこむ農水省は、もはや犯罪的です。 価格暴落の原因が、輸入急増であることは農水省の統計でも明々白々。「主要野菜の輸入実績(平成十二年七月分)」を見ると、今年一月〜七月の輸入量は、タマネギで前年同期比一四八%。一・五倍に増えています。国別の内訳を見ると、アメリカ産が三・三倍にも。 その他の目につく品目は、ネギ(リーキ・ねぎ属)が同一六八%、トウガラシ(とうがらし・ピメンタ属)が同一四九%、スイートコーンとショウガが同一四二%、シイタケが一三七%など。 キャベツは、単純に前年と比較すると四六%に減っていますが、これは九八年産の秋冬キャベツの大不作(長雨、日照不足、台風による)によって、九八年暮れから九九年三月頃までベラボウに輸入されたため。その期間を除いて、九七年八月〜九八年七月の一年間と、九八年八月〜九九年七月の一年間を比較すると三・三倍に増えており、「大不作を境に輸入が定着した」と言うことができます。 セーフガードの発動は、待ったなしの課題です。
安値に泣くキャベツ群馬県の嬬恋とともに、キャベツの生産地である長野県南牧村野辺山高原では十日、丸々と実ったキャベツを大型トラクターで踏み潰し、畑に鋤きこむ無残な光景が見られました。キャベツの生産者価格が暴落しているため、農水省は先月に続いて二回目の廃棄を群馬、長野で実施しました。今回は山梨、青森も対象になり、二回合わせて七千七百五十トン。二回連続して廃棄するのはきわめて異例といいます。 戦後、広大な野辺山高原の荒れ地を開拓してきた市川八十吾さん(70)は、植え付けたキャベツ畑の五%をつぶしました。 「一箱十キログラム八玉で出荷価格は六百円にもならない。廃棄すると保障価格三百二十円、一個四十円。作付け量も出来も去年と変わらないのにね」と語ります。 同じころ、東京のデパートの地下食品売り場では、岩手県産と書かれたキャベツが一玉二百九十八円で売られていました。
(新聞「農民」2000.9.25付)
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[2000年9月]
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