「農民」記事データベース20010319-485-06

農民連十三回大会での発言

高い造成費変えさせ固定資産税引き下げる

茨城・県南農民組合 村田 深


 農業用施設用地の固定資産税を引き下げたとりくみについて報告します。

 農業用施設が建っている土地の固定資産税は、昨年の評価替えで「農地の価格」に「造成費」を足して評価するようになりました。これは農家のたたかいの大きな成果です。

 しかし、せっかく農地の価格を基本にしても、造成費を足すことによって、宅地なみに高い評価になっているところもあります。茨城・県南農民組合が、つくば市に審査の申し出をした土地もそういう土地でした。

 組合員の牛舎が建っている土地ですが、周りの田んぼの評価額が一平方メートル当たり九十七円、畑は五十七円なのに比べて三千百円、三十倍以上です。しかし自分で造成をしたので、実際にかかった造成費はユンポを借りた三万円だけで、牛舎の面積で割ると一平方メートル当たり三十五円です。

 なぜそんなに造成費が高いのか、役所へ行って説明を求めました。担当者は、なぜ造成費を足すのか分からないと言う一方で、結局は自治省の方針どおりに行うと言って、直しませんでした。そこで、審査委員会に審査の申し出をしました。

 審査申出に対して市役所は、適正な評価をしているという「弁明書」を出してきました。こちらは「反論書」で、農業をやるための土地なんだから農地として評価して欲しいことと、百歩譲って造成費を足すとしても、自治省の指導のとおり計算すれば、もっと安くなるはずだと書きました。

  「弁明書」には、自治省の評価室長の第三十五号通知に基づいて評価したと書かれています。この文書には、造成費の計算の仕方について東京の実例が載っていて、盛土の高さが何センチだから土盛り整備費がいくら、擁壁費がいくらと積算した表があります。擁壁費が造成費全体の七〜八割です。但し書きでこれはあくまでも参考に通知するものなので、各市町村では「地域の実情を反映した適正な造成費の算出に努め」るべきとあります。  ところが市役所は、組合員の牛舎には擁壁がないのに、通達に載っている積算表の合計金額をそのまま使い、四〜五倍に過大に評価しているのです。

  その後で審査委員会の口頭意見陳述があり、このことを指摘したら、市役所は「再弁明書」で「擁壁をするかしないかは、造成する人の恣意で変わるから、それで評価額が変わるのは適当でない」という訳の分からないことを言ってきました。

  こちらもまた「再反論書」で、「恣意だろうとなんだろうと、現況を正確に評価して課税するのが固定資産税であって、擁壁がないのに、あるように評価するのは余りにもひどいことで、とうてい容認できない」と書きました。そして、全国連の山口・固定資産税対策部長のアドバイスを思い出して「私たちは最低限の要望が実現するまで何年かかっても最後まで諦めない決意です」と、裁判も辞さないという決意を匂わせてしめくくったのですが、それが効いたらしく、後日「相談したい」と電話がかかってきました。

 十二月二十八日に審査委員会から送られてきた「決定書」によると、擁壁費はゼロになり、評価額は二百六十万円から百万円に六十%減額になりました。

  一年分の税額としては一万円程が戻ってくるだけですが、この土地だけを直すというのはおかしな話なので、つくば市内の他の農業用施設用地も同様に訂正しなければならない事態になりました。また、つくば市だけでなく、擁壁費を含めて余計に造成費を加算しているなど評価額が高すぎる市町村については、評価替えの年を待たずに、各市町村に引き下げを要求していこうと思っています。

(新聞「農民」2001.3.19付)
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2001年3月

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