千葉県知事選挙産廃解決と農業発展掲げる河野さん「明るい会」不法投棄のゴミの山
ウグイスのさえずりが響き渡る谷。先人が築いた谷津田を流れる、昔シジミを採った清流。そこに突然、異臭を放ち、ところどころから煙を噴き上げる建築廃材、プラスチック、ビニール、自動車のバッテリー、空き缶など、ゴミの山が出現――これが産業廃棄物の不法投棄の現場です。 ここは千葉県銚子市に隣接する海上町。「初めは、最近やたらと十トンの大型ダンプがよく通るなあと思いました。ある時、後をつけると不法投棄の現場でした。真っ暗な道をライトを消したダンプが近づいてきた時は、戦車が迫ってくるような恐怖感を覚えました」と話すのは、海上町のカーネーション農家、阿部毅さん(千葉県農民連青年部長=40)。
五年前から…同町で不法投棄が問題になり始めたのは、五年くらい前から。二年前に埼玉・所沢でダイオキシン問題が起きた時は、所沢ナンバーが目立ったといいます。業者は谷の斜面を十〜二十メートルも削り、赤土を運び出し、産廃を埋め戻します。赤土を売り、産廃を捨てて、二重の利益を得ているのです。不法投棄の標的にされた背景にあるのは、農業つぶしの農政によって農地が荒れ、土地投機ブームによって山林の所有権が地元の手から離れたため。 そのうえで産廃業者が、海上町周辺に目をつけたのは、千葉県北部を東西に走る北総合地に小さい沢が無数にあり、人目に触れず不法投棄するには格好の場所だから。また千葉県東部に高速道路が伸びて、近くなったことも要因です。ダンプは高速道路の出口から別名「産廃街道」と呼ばれる広域農道を通って産廃を運んでさます。
最終処分場が同町で産廃をめぐって、もう一つ問題になっているのが、民間の産廃最終処分場の建設計画です。三月一日、沼田武・現知事は、地元の反対の声を無視して、銚子市・海上町・東庄町にまたがる沢に最終処分場を造る計画にゴーサインを出しました。「私たち住民は、不法投棄された産廃の撤去を望んでいます。それもやらないで最終処分場を建てるのは我慢できません。知事は処分場を造れば不法投棄が減るかのように言いますが、とっても信用できません」と言うのは.毅さんの父親の阿部一成さん(日本共産党の海上町議)。
産廃反対運動海上町は、処分場の建設計画が表沙汰になった三年前、議会を中心に農協や老人会、子供会など二十三団体が参加する「産廃反対同盟」を結成。住民投票を行い、町民の圧倒的な「建設反対」の意志を示しました。これに驚いた県はいったん建設不許可を決定。しかしその後、処分場の申請業者が不服審査請求を出すと県は追加の資料を業者に求め、「あからさまな許可に向けた条件づくり」を開始。 そして知事の記者発表の二日前に担当課長が突然、地元市町に来て「最後通知」。 「これには、沼田県政を支えてきた自民党の地元議員も相当頭にきた」といいます。
知事選の争点産廃問題は、三月二十五日没票の千葉県知事選挙で、地元住民が固唾を飲んで見守る大きな争点になりました。阿部さんが「沼田県政ときっぱり縁を切る候補」という「明るい革新県政をつくる会」の河野泉氏は、千葉県農民運と政策協定を結び、産廃問題の解決と千葉県農業の発展を公約に掲げています。
(新聞「農民」2001.3.19付)
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[2001年3月]
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