演劇東京アンサンブル「海鳴りの底から」島原の乱 キリシタン農民描く
いまから四百年前、九州・島原の原城にたてこもった三万七千人のキリシタン農民たち。東京演劇アンサンブルが上演する「海鳴りの底から」は、この歴史的な事件を再現するとともに、彼らがめざしたものはなにであったのか、現代から見つめ直した作品となっています。堀田善衛原作、広渡常敏脚本・演出。 物語は、島原の乱でたった一人の生き残りとされる南蛮絵師・山田石衛門作(えもさく)に焦点を当てています。農民一揆には賛同できないまま原城にきてしまったものの、農民たちの明るさと純粋さに心を揺さぶられていきます。 一揆のシンボルの旗を描いた右衛門作は、「亡びることを怖れてはならん。幸せなどというものではない、存分の生を生き抜かねばならんのだ」と決意します。 “かとりかのれぷぶりか”(世間はひろい共和国)を打ち立てるという指導者たち、農民たちに根づかせた思想、やがてくる悲惨な終焉(しゅうえん)。巧みな舞台空間を生かした装置は見ごたえがあります。また、出演者も入江洋佑、真野季節、田辺三岐夫、久我あゆみなど、ベテランから若手まで総勢三十二人。スケールの大きな作品です。 右衛門作役の竹口範顕さんは「この役で飛躍したい」と意欲的です。「この芝居でいちばん感心したのは、唯一絶対の神の前では人間はみんな平等だということでした。キリシタンの教えが、俳優として自分の思いと重なり、自分の体で演劇論を体験している」と語ります。
(鈴木太郎)
*3月19日〜28日、東京・練馬区・ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関駅下車六分)。連絡先=劇団・東京演劇アンサンブル・電話03(3920)5232 (新聞「農民」2001.3.19付)
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[2001年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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