安い農産物の向こう側タイの農村はいま山本 博史
貧困ラインを下回った平均年収中国・東南アジアなどの各国から、安い農産物や加工食品の開発輸入が急増しています。しかしその対日輸出が、現地農民や農村生活に厳しい犠牲を押しつけていることが少なくありません。現地紙やインターネット情報から、タイを中心に紹介してみます。
タイ政府の発表によると、昨年のタイ農村部における一人あたり平均年収は、一万五八二四バーツ(四万四三〇〇円)と、政府が定めている貧困ラインの二万バーツ(五万六千円)を下回ったことが明らかとなりました。 これは、タイ内務省社会開発局が、バンコクなどの主要都市を除く農村部を対象に行った「地方所得調査」の結果です。ここでいう「貧困ライン」とは、衣食住を中心に最低生活に必要な年間収入のことで、これ以下の場合は「絶対的貧困者」と位置づけられます。 タイのなかの地域別にみても、貧困ラインを上回っているのは、工業開発の進んだ中部平原各県や、観光開発がさかんな南部のプーケット県などで、水田面積の五五%を占め、高度成長期に多くの出稼ぎ農民を送り出した東北地方は、一万一九三六バーツ(三万三四〇〇円)と、全国平均より二五%も低くなっています。 開発輸出のための契約農業のなかでの買いたたきや、経済不振によるリストラで帰村した失業者群などで、農村ではますます「絶対的貧困者」の比重が増しています。 (つづく)
(新聞「農民」2001.5.28付)
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[2001年5月]
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