「農民」記事データベース20011203-519-01

千葉・青年部アンケート「朝食抜く」は二人に一人

「うわ。やば」青年の食生活は大丈夫?

コンビニ・ファミレスファーストフード 心配なアレルギーや成人病

 一週間のうち一回でも朝食を食べないという青年は二人に一人、コンビニやファーストフードで昼食を済ませる青年は三人に一人――千葉県農民連青年部が中心になり九月中旬にかけて、千葉県内で行った「食農アンケート」ではこんな結果が出てきました。アンケートでわかった青年の食生活について、編集部で取材しました。


 昼休み、学生や若いサラリーマンでにぎわう東京・池袋の公園を訪れると、コンビニで買ったカップラーメンやパンを食べる学生が大勢いました。

 美容師の専門学校に通う女の子三人組は「青年の食生活について取材してるんですけど」と声をかけると「うわ。やばっ」とお互いの顔を見合わせて苦笑。弁当持参の一人を除いて、コンビニのオニギリとサンドイッチ。みんなコンビニでカップラーメンなどを買って食べていると言います。

 カップラーメンを食べていた、同じく美容師の専門学校に通っている男の子七人組は「小遣い二百円〜三百円では、コンビニ弁当すら買えない」と言い、うち三人は朝食を食べないと話していました。

 体に合った米と野菜を

 「食農アンケート」では朝食をまったく食べない人が十三%(図1〈図はありません(以下同)〉)、昼食でコンビニやファーストフード、ファミレスなどを利用するという人は二七%(図2)となっています。

 アンケートに取り組んだ千葉県農民連青年部事務局長の熊手正幸さん(36)は、「協力してくれたのは、二十五歳から三十歳までの青年が中心。意外とコンビニを利用していないように見えますが、学生に限ってみるともっと高い数字が出ると思います。また、数は少ないですが、看護婦さんと、学校の先生の欠食が多くなっていました。職種ごとに調べると、労働条件の問題が浮き彫りになるかもしれない」と話します。

 欠食やコンビニ食の多い青年の食生活について、東京・豊島区にある鬼子母神病院の管理栄養士、垣内早苗さん(42)は、「朝食を抜く傾向は、高校生が一番高く、食事を抜くと太りやすくなります。特に朝の欠食は、野菜不足につながります。また、ファーストフードやコンビニ食の急増は『米・野菜離れ』を引き起こし、若い人の肥満や糖尿病などの生活習慣病に大きく関係しています。米は日本人の体質にあっていて、消化がゆるやかなので、肥満や糖尿病の予防に有効です。野菜は食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、生活習慣病、がん、骨粗鬆症、貧血などの予防に役立ちます。コンビニやファミレス中心の食生活の方でも、野菜を茹でて、一日一皿のお浸しにチャレンジしてみては?」とアドバイスしてくれました。

 アンケートの結果を見ると、コンビニで購入する食品では、ごはん類に比べ、パン類、麺類などの小麦を使った食品の購入が多くなっています。

 こうした傾向について、農民連食品分析センター所長の石黒昌孝さんは、「小麦は九一%が輸入。パンやドーナツ、ケーキなど、市販の小麦製品を分析した結果では、必ず有機リン系の殺虫剤が残留しています。四六・三%の高校生が何らかのアレルギーを持っているという調査もありますし、食物アレルギーの原因で一番多いのは小麦だと言われています。また、有機リン系の農薬は、視神経に作用し、視力低下の原因だと言われています。有機リン系殺虫剤のマラチオンとフェンバレレートは、環境ホルモンの働きが確認されており、毎日摂取すれば、生殖に影響を及ぼす恐れもある」と指摘します。

 日本農業必要は九割超

 問題の多い青年の食生活ですが、こうした一方で、健康に対する関心を持っていることもわかりました。野菜の摂取量についての質問では、「やや少ない」が五二%で最も多く、「かなり少ない」一九%となっており、野菜不足を自覚している人が七割を越えています。(図3)。

 また、「日本に農業は必要」九八%、「日本の自給率は低いと思う」八七%、「輸入農産物は安全ではない」五〇%という数字は、少し高くても日本のものが食べたいという国民が八四・二%という総理府の世論調査に見られる、日本の世論が、青年の中でも反映していることを表しているようです。

(新聞「農民」2001.12.3付)
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2001年12月

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