「農民」記事データベース20040920-652-04

ふるさとネット総会

各地からの発言

東海ネット事務局長 吉川 利明


人と人との関係大切に競争でなく共同し発展を

 農業破壊の流れではなく、国産品を求める「もう一つの流れ」について、東海ネットの経験を紹介します。

 一つは、毎週火、金の二回、名古屋市内の猪子石(いのこし)、西山にある閉店した生協のお店の二店で取り組んでいるファーマーズ生鮮市です。これは、生協の組合員さんが運営する組織に農産物を持ち込んで委託販売するもので、消費者と生産者が一緒にとりくんでいます。

 週二回の生鮮市の他に、西山では、引き売りに出て、老人介護施設やお店を離れられない商店街のお母さんたちに喜ばれています。猪子石では、週一回の子育てサークルや、月一回のお年寄りへの福祉弁当作りに取り組み、金曜の生鮮市は瀬戸市の障害者施設で開いています。ここでは、最初は何もできなかった障害者の子どもたちが、買い物袋を渡し、野菜を並べ、レジの計算までできるようになり、施設の人も「子どもたちの成長がすごい」と話しています。

 いずれの生鮮市も、地域にかけがいのない存在になってきています。これは消費者とのつながりがあって初めてできた地域的ひろがりです。私たちも消費者の自己運動を育てながら一緒にやるという思いでやってきました。今後、ふるさとネットで、消費者と運動を作る一つの典型になると思います。

 もう一つは、生協に対して、全国と地元の複数産地を組み合わせて商品を供給する共同提案です。例えば、ダイコンは愛知と和歌山、熊本、鹿児島を組み合わせて十一月〜五月まで供給しています。

 岐阜のミズナ生産者は三〜四人で、生協に提案できない規模ですが、和歌山や埼玉、茨城と一緒になることで供給でき、これを通じて組合員を増やそうと意欲的になっています。ふるさとネットで新しい産地が立ち上がり、大いに発展させていけると思います。

 私は産直協の二つの言葉をいつも心にとめています。その一つは「産直は、物と物とのつながりの前に、人と人との関係を大切にするもの」で、これはファーマーズ生鮮市の取り組みに生きています。もう一つは「競争から共同へ」です。複数産地を共同提案することで、今までの競争相手が共同提案の相手になる。ふるさとネット立ち上げで、「競争から共同」が具体的課題になってきました。これから、全国の仲間との共同を発展させたいと思います。

(新聞「農民」2004.9.20付)
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2004年9月

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