「農民」記事データベース20040927-653-07

この目で見たベトナム農業

視察リポート(1)

 「一九七五年四月三十日、ベトナム解放軍は雪崩を打ってサイゴン市に進撃した。正午近く戦車部隊は大統領官邸(いまの統一会堂)に突入し、南ベトナムは解放された」―それから三十年。いま、ドイモイ政策のもとで、ベトナムの農業や農業教育はどうなっているのか。ベトナムの農家や農業高校・大学を視察して、ベトナム社会の理解を深めようと、全国農業教育研究会(略称=全農研)の呼びかけで、八月十八日から二十五日まで、ベトナム農業視察旅行が行われました。
(赤間 守)


生産意欲高める策次つぎ

 まず、ベトナムの農業について、簡単に紹介します。一九八六年に提唱されたドイモイとは、経済社会の刷新。最大のねらいはベトナム経済の再建にある、と言われています。そのなかで農業は第一の戦線とみなされています。それは人口の約七割が農村部で生活し、国民総生産の約二五%を占めているからです。農村の発展なくして、ベトナム経済の成長はありません。

 ドイモイ以前には、社会主義大規模化=合作社・国営農場の組織づくりが進められてきましたが、生産意欲と効率性・採算性の低下が浮き彫りになり、ベトナム政府は集団農業を解体。さらに国による補助金の廃止、国営企業の独立採算制への移行、個人による経営や副業への規制を撤廃するなど、農民の生産意欲を高める具体策が講じられました。協同組合や個人による経営を認め家族農業へと転換したのです。

 また価格と流通では、それまでの統制的な価格決定をやめて市場にゆだね、食料の配給制度を廃止して市場から食料を購入するようにし、価格と流通の自由化を実現させました。さらに、それまで合作社の管理下にあった農地を、各農家に配分。私的所有は認めていないものの、使用権の売買や相続などを認め、実質的には私有権に近い土地所有権が農家に与えられました。

 その結果、ベトナム農業は順調な成長を遂げています。

(つづく)

(新聞「農民」2004.9.27付)
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2004年9月

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