ナタネへの夢(上)楽農倶楽部の仲間たち
やっと荒れ畑借りて作る粘り強い小諸の女性数年前、新聞「農民」の読者でもある長野・小諸市議の小林より子さんは、議会でナタネ栽培の振興を提案しました。小林さんは、もともと小諸厚生病院の栄養士でしたから、国産で安全なナタネ油を学校給食に提供したり、菜の花の景観が市の活性化にもなると取り上げたのです。ハッキリした返事がないので農林課へ行くと、課長も「作ってみたら」といっていろいろな資料を取り寄せてくれたそうです。小林さんは、定年退職した女性に働きかけて、みんなでナタネを作ることにしました。津軽農民組合から取り寄せたキザキノナタネです。 間に立って種子を心配した荻原徳雄さんも、指をくわえて見てはいません。自分でも早速ナタネを作り、四年目を迎えました。 しかし、ナタネの収穫は夏の暑い盛り、しかもあの木のように堅いナタネの茎を刈るのは「地獄のさた」です。それでも熱心に作り続ける小諸の女性たち。この姿に、農協は、市の補助で購入した二台のソバ用コンバインのうち一台をナタネ用に改良しました。
コンバインで収穫した!そして昨年、小諸市の学校給食に野菜を供給している御代田町の尾台正樹さん(佐久楽農倶楽部会員)たちは、このコンバインでナタネを収穫。それを見て、農協の支所にかけあったり、人脈を頼ったりして、このコンバインを借りられることになり、ようやく楽農倶楽部が以前から考えていた「荒れ畑を借りてナタネを作る」という計画を実行に移すことができたのです。昨年は、一ヘクタール余の畑で作付。ナタネは雑草を抑えるということでしたが、やはり何年も生い茂るままにしていたところですから、全面播種(はしゅ)では雑草もかなりはえます。こういう畑は条播種にして春先に一度、中耕した方がいいと分かりました。「信濃毎日」や「朝日」が報道したので、県から市に問い合わせがあり、今年七月の収穫の日には、農業委員会事務局長や農林課長も視察にきました。
これも集落営農の一つ…楽農倶楽部の菜の花部会といっても、実際に作業の中心になるのはやはり荻原さんの地元・西耕地部落の会員です。収穫したナタネを干すのは西耕地のハウス。そこへ運ぶのも、広げて干すのも、取り込みなど天気を見て行う急な作業の連絡もやはり西耕地の仲間です。集落営農とはこういう実際から出発するものなのでしょう。必要に応じて、その地域にふさわしい形で。人間と人間がものを作ることを通じて、強いきずなで結ばれることが大事なのだと思います。 (佐久楽農倶楽部 小林節夫)
(新聞「農民」2004.11.8付)
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[2004年11月]
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