「農民」記事データベース20050606-686-17

旬の味


 初夏を迎えた大阪で「旬の味は?」と聞かれたら、いの一番に“泉州水ナス”と答える。五〜八月が最盛期だ▼水ナスはその名のとおり、水分が多く、アクが少なく、独特の甘みがある。とりわけ他の品種に比べて、皮・肉質ともに柔らかい。軽く塩もみして、ぬか床に漬けると、翌朝には色鮮やかな紫色に仕上がる。水ナスの浅漬けのみずみずしい風味は絶品だ▼二十年ほど前、漬物製造業者が、数日間の賞味期限をもつ水ナス漬けを開発、贈答品として全国販売に成功した。これが、マスコミの報道と宅急便輸送の発達で急浮上。安全・安心の全国ブランドとして普及するようになった▼うれしいのは、水ナス需要の増大にともなって生産農家も作付面積も増え続けていること。農民組合が十五年前からとりくんできた水ナス浅漬けの産直も確実に成長してきたことだ▼江戸時代初期から栽培され、泉州地域の気候・風土や食生活に根ざして育成されてきた水ナス。その秘められた深い“旬の味”を実感できる季節だ。

(西)

(新聞「農民」2005.6.6付)
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2005年6月

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