世界初“食糧主権”宣言の国
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関連/世界初“食糧主権”宣言の国 マリ共和国で国際フォーラム /“食糧主権の大波起こそう”世界的な広がり実感(1/2) /“食糧主権の大波起こそう”世界的な広がり実感(2/2) |
「食糧主権をグローバル化しよう」――。食糧主権国際フォーラム(ニエレニ・フォーラム)が二月二十三日から二十七日にかけて、西アフリカのマリで開催。世界八十カ国以上から五百人を超える人々が集い、日本からも十人が参加しました。フォーラムは五日間のねばり強い議論の結実として「ニエレニ宣言」と「行動計画」をまとめました。フォーラムの内容を、真嶋良孝・農民連副会長、斉藤敏之・同常任委員、坂口正明・全国食健連事務局長の三氏に振り返ってもらいました。
食糧主権国際フォーラム参加者
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真嶋良孝さん(農民連副会長) 斉藤敏之さん(農民連常任委員) 二瓶康一さん(農民連常任委員) 池川雄二さん(山梨農民連) 杵塚歩さん(農民連青年部、通訳) |
坂口正明さん(全国食健連事務局長) 長谷川英俊さん(全日本教職員組合) 森治美さん(全労連全国一般労組東京地本) 椿三重子さん(新日本婦人の会) 高田愛さん(通訳) |
坂口 たしかに食糧主権が現実のものになり始めていると感じた。フォーラムには本当に多様な階層の人々が結集し、そのことが中身にも明確に反映していた。ヘンリー・サラギ氏に感想を聞かれて、農民以外の僕たちも食糧主権をどうするかという議論に加わる居場所があったと答えたが、そういう運営ができるほど運動が広がっている。食糧主権を求める運動が発展する画期になる会議だったと確信している。
真嶋 フォーラムの目的は本来二つあった。一つは各国で食糧主権を求めるたたかいを進める戦略やいろいろな階層が連携して進める共同の行動計画を練り上げること。もう一つは食糧主権についての正確な理解を共有し、内容をさらに発展させることだった。とくに前者のほうはものすごく深まったし、各国でのたたかいの重要性が強調された。
斉藤 各国のたたかいということでは、ノルウェーの発言が印象的だった。ある市の市長が参加していて、地域農業を盛んにする運動とともに、WTOは地域農業を破壊していると告発する署名を、国内の半数以上の市長から集めてWTOに提出したという。日本でも自治体ごとに食糧主権宣言をあげる運動を農民連や食健連がつくり、国に攻め上がるたたかいができると思った。
それから補助金一般を否定する一部の議論に対し、「国内生産を守るために補助金は必要だ」「企業に対する補助金や輸出補助金とは違う」とかなりキッチリ言っていた。これは、「北」の農民と「南」の農民が団結するうえで大事な点だ。
坂口 その意味では、いま日本政府が“攻めの農政”などと言って輸出を促進させようとしているのは、自分の首を絞めているようなものだ。
真嶋 西アフリカの国々の農民組織が、国家予算の一〇%を農業予算に回せと要求し、たたかっているのも印象的だった。日本でも三十年くらい前までは農業予算が予算全体の一〇%を上回っていたからね。
こうした各国のたたかいをさらに進めるためにどういう戦略をもって運動し、連帯を深めるかということを徹底的に話し合ったフォーラムだった。
アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北・南アメリカ、オセアニアのすべての大陸から集まったフォーラムの参加者。討論は、英語、スペイン語、フランス語、バンバラ語(マリの母国語)に同時通訳され、さらに各国の言語に訳されました
フォーラム期間中、毎日行われたミスティカ(文化交流)。日本代表団も浴衣や法被を着て「ふるさと」を合唱。静岡の茶農家、杵塚歩さんが野だてを披露しました
[2007年3月]
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