「農民」記事データベース20071210-808-10

本の紹介

中野一新・岡田知弘編
グローバリゼーションと世界の農業


変ぼうする各国の農業分析、地域・農業の再生の糸口探る

グローバリゼーションと世界の農業 この本は、京都大学名誉教授の中野一新さんが京都大学を退官されるのを記念して、中野さんが主宰する現代農政研究会のメンバーが企画したもの。

 中野さんはアメリカに留学された時、アグリビジネスの農業支配について研究する必要性を痛感し、現代農政研究会でもアグリビジネス研究を中心に、各国の農業・農政分析に取り組んできました。この本は、そうした研究成果にたって、多国籍アグリビジネスによる農産物市場のグローバル化のなかで、大きく変ぼうしつつある各国の農業・農政の構造を分析し、農業・食料・環境問題の解決の糸口を探り出そうとしています。

 第一章は、グローバル化のもとでの世界農業市場再編の特徴が明らかにされ、第二章では、先進農産物輸出国であるアメリカのカーギルやコナグラ、ユニバリーなどの農産物輸出戦略とその実態。第三章では、アメリカ国内農業の構造変化を分析しています。第四〜六章では、アメリカに対抗するEU、なかでもイギリス、ドイツ、フランスに焦点をあてて、EUの農政改革に対応した各国の農業構造の急激な変化を浮き彫りにしています。第七、八章は、WTO交渉の中で、途上国二十カ国グループの代表国であるチリとインドを分析。そして最後に最大の先進農産物輸入国である日本を取り上げ、グローバル化の中でかつてない衰退の危機にある農村社会を自治体合併とあわせて検討し、再生の課題を提起しています。

 この本は、野放図なグローバル化と多国籍アグリビジネスの横暴に歯止めをかけ、地域社会と農業の再生産を持続可能なものに転換していくことが、世界的な共通課題になっていることを明らかにしています。

(定価3000円+税、発行 大月書店)

(新聞「農民」2007.12.10付)
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2007年12月

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