知覧町で農家民宿、お茶直売
私が一人で農業続けられたのは…
鹿児島県農民連 熱っぽく語る宮原千草さん
地域の農家に助けられ、
多くの仲間との連携の力
G8サミット対抗行動が行われた北海道には全国から五百人余りの仲間が集まりましたが、もっとも遠方から参加したのが鹿児島県連の三人です。そのうちの一人、知覧町に住む宮原千草さんは、飢餓・食糧危機セミナー(七月七日)で発言、「こういう話が聞きたかった」(イギリスの青年)、「たいへん感激した」(日本の大学生)など、集会後、参加者が宮原さんを囲みました。
県試験場で研修外国へも視察に
宮原さんが集会に参加して思ったことは、「連携をとり、がんばりましょう」と声高に言うだけで、どういう取り組みをして連携するのか、農民組織の動きがぜんぜん見えてこないのが物足りなくて、自分の体験や取り組みを話しました。
宮原さんは、七年前に夫を事故で亡くし生活は一転。悲しみの中、農業を学べる制度があることを知り、県の茶業試験場で研修し、ドイツやフランスを視察しながら無農薬・有機栽培のお茶づくりに挑戦、七十アールほどの茶園を一人で管理しています。生産したお茶や加工品は、南さつま農民組合の直売所「薩摩路」やJR鹿児島中央駅の「出逢い広場」で販売しています。JR鹿児島中央駅での販売は、個人で五月から始めたばかり。農民連の会員にも呼びかけて、米や野菜などを出してもらっています。このように「小さな農家でも何人かが集まって生産したものを販売していく、そして農業を続けていく。これも連携の力ではないでしょうか」と発言した宮原さん。
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JR鹿児島中央駅の「出逢いの広場」―お茶の試飲もできます
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過疎化進む町に人を呼び込んで
またもう一つ取り組んでいるのが、農家民宿「庭のちぐさ」です。女性限定ですが、就学旅行の児童・生徒やアジアの留学生などを受け入れています。当初、町内の農家五人でグリーンツーリズム研究会を立ち上げましたが、いまではメンバーも十九人に。農業体験や農家民宿を通
じて、過疎化の進む知覧に人を呼び込み、地域に広がれば地元から去っていった若者ももどり活性化につなげようと取り組んでいます。「以前、反日感情のすごく強い韓国の学生が来ました。二週間いっしょに生活したら“日本人の心にふれてよかった”と言ってくれました。いまではそのお母さんとも交流を深めています」と、宮原さんはうれしそうに話してくれました。これも一人だけじゃない、地域の連携です。
世界のこと知り考えることも…
「日本の農政は、大きな農家だけを対象に補助金などで支援しています。小さな農家はつぶれてもいいということです。でも、連携すれば小さな農家も生き残れます。仲間づくりです。私は体験を通
じてそのことを話したかった」―JR鹿児島中央駅の直売所に協力している農民連の仲間から「北海道に行くと言ったら、売り上げ分はカンパでいいよ」と激励してくれたそうです。
いままで知らなかった世界のことを知ること、考えることができたG8サミット対抗行動でした。
▼農家民宿「庭のちぐさ」(要予約)TEL 0993(83)3879
(新聞「農民」2008.8.4付)
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