「農民」記事データベース20080811-840-06

G8サミット対抗行動

国際フォーラム発言から


小規模農家の切り捨て政策で10年前の50%減に

スペイン イラッツェ・アリオラさん

画像 私は、スペインの北のバスクから来ました。そしてビア・カンペシーナに加盟する小農民連合のメンバーです。

 ヨーロッパは世界でも自由貿易が進んだ地域ですが、そのヨーロッパでは今、農業を大規模農家に集中し、小農家を切り捨てるという政策が推進されています。この政策のもと、一日に一軒の小農家が廃業し、バスクでは小規模農民が十年前の五〇%に減りました。その結果、私たちが消費する食糧の二〇%しか生産できなくなっています。

 私たちは生産者価格とスーパーの小売価格の調査を行いましたが、農家から安く買いつけ、消費者に高く売る仲買人たちや大企業のマージンは巨大なものです。たとえば牛乳一リットルの買付価格は四十セントにすぎませんが、スーパーでは一ユーロで売られており、仲買人の利益は七〇〇%にもなります。同様に、肉の買付価格も下がっています。これら小規模農業者たちの収入は六百〜八百ユーロですが、生活費は千ユーロかかり、農業ではとても暮らしていけません。

 もう一つの問題は、農地がショッピングモールや、工場などに転用されていることです。また私の住んでいるビカヤでは、多くの農地がユーカリなどの工業的な作物の栽培に使われています。

 さらに今、バスク地方の三大都市をつなぐ高速鉄道が計画されており、六百ヘクタールの農地が失われ、多くの小規模農民が追い出されようとしています。この計画が狙うのは、すべての地域を輸送システムで結び、すべてものを運搬しなければならないような社会です。

 このような社会こそ変える必要があります。長距離運搬によって地球温暖化を促進するのではなく、食糧は生産地と消費地が同じ所になければいけません。私たちは生活する権利があり、生産のやり方を自分たちの手で決める権利があり、国民すべてに食糧を届ける権利があります。


アメリカ産牛肉全面輸入に反対した4カ月のたたかい

韓国 ナム・スンミンさん

画像 私は韓国南部のチンジュ(晋州)に住み、トウガラシとトマトを作る農家です。韓国農民会総連合に所属しています。

 現在、韓国では、アメリカ産牛肉全面輸入に反対するたたかいが四カ月以上も続いています。イ・ミョンバク大統領が誕生し、アメリカとの交渉でBSEの疑いのある部位、三十カ月齢以上の牛も全面的に輸入する政策を進め、国民に大きな失望感を与えました。韓米FTA(自由貿易協定)も、困難な状況です。

 実は、アメリカ産牛肉全面輸入にたいして真っ先に声を上げたのは十代の中高生だったのです。インターネット上で、ろうそくデモに立ち上がろうと呼びかけ、中高生らが街頭に集まり始めました。この中高生の姿を見て、良心的な多くの国民が立ち上がったのです。

 朝鮮日報や東亜日報など韓国の大手マスコミは「輸入反対デモは、左翼、共産主義者がやっている」と宣伝して、イメージを落とそうとしたわけですが、これはかえって火に油を注ぐ結果になりました。これらの新聞の購読中止が呼びかけられ、中止が相次ぎました。また新聞に広告を出している会社の製品の不買運動も始まりました。

 韓国には、ノンシムとサミャンというインスタントラーメンの会社があります。ノンシムは広告を出し続けると言い、サミャンは取りやめると表明しました。そうしたら、ノンシムの売り上げが落ち、逆にサミャンは売り上げを伸ばしました。

 その後、政府の追加交渉が行われ、危険部位を除去し、三十カ月齢以上は輸入しないということが一応決まりました。

 私たちは、これをアメリカ産牛肉輸入反対だけの運動ととらえていません。私たちのスローガンは「新自由主義とこれに追随するグローバリゼーションは悪魔だ」ということです。私たちの要求が貫徹されるまで、労働者、国民と力を合わせてたたかっていきます。

(新聞「農民」2008.8.11付)
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2008年8月

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