「農民」記事データベース20080908-843-01

米屋と生産者をつなぐ交流会(東京)

消費者はいい米を求めている

生産者・米屋が信頼深め
大手に対抗する軸を

 農民連ふるさとネットワークは八月二十四日、東京都文京区の文京区民センターで、米屋さんと生産者をつなぐ交流会(東京会場)を開き、生産者、米屋さん二百人余りが参加。参加者は「生産者と米屋さんが共同して、作る人の顔が見える米を卸や米屋さんを通して消費者に届ける準産直米を広げ、食料自給率向上と地球温暖化防止に踏み出す農政への転換を求めよう」と決意を固めあいました。


食料自給率向上と地球温暖化防止を

 生産費が補償される米価を

 ふるさとネットの堂前貢代表が主催者あいさつ。大手卸会社が多額の利益をあげる一方、生産者米価が低い現状を指摘し、「何ら対策をとらない国の米政策を変え、米農家の生産費が補償される米価を」と述べました。

 来賓あいさつした日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長は「この交流会に毎年参加するのは、量販店と違って、安全・安心な米作りを、米屋を通して消費者に伝える農民連の準産直米に賛同しているからだ。米屋と生産者が親せき関係を超えた信頼関係を構築するときだ」と呼びかけました。

 東京山手食糧販売協同組合の大林正孝常務理事は、大手卸や商社が肥大化するなど「流通業界の二極分化が進んでいる」と指摘。「生産者と米屋、卸が協力することが、こうした動きにストップをかけ、大手に対抗する軸を作ることになる」と強調しました。

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参加者の半数はお米屋さん。大盛況でした

準産直米の取り組み広げよう

 政府の政策に負けぬ決意も

 各産地からの報告では、「盆過ぎから雨の多い寒い日が続いている」(東北)、「集中豪雨による倒伏がある」(関東、北陸)など、天候不順による厳しい米作りの状況が話されると同時に、政府の「米政策」に負けない米作りに励む産地の強い決意が相次いで語られました。

 東北・北海道ネットワークの鈴木弥弘さんは、東北農政局作製の「米作りは資源のムダ。もったいない」ポスターを撤去させた経験を語り、「米不足なのになぜ生産調整(減反)か」と批判。燃料高など厳しい現状が続くなか、東北でも、農業経営危機突破集会が各地で開かれていることを紹介しました。

 関東ネットワークの小倉毅さんは、JA全農ちばの集荷方式に対し「こんな低い価格ではやっていけない」という声が農家から上がっていると指摘。「全農一辺倒では解決できない。準産直米を広げ、仲間を増やそう」と呼びかけました。

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千葉の新米、“ふさおとめ”“ふさこがね”を試食

 北陸ネットワークの鶴巻純一さんは、ご飯一杯の価格をチョコレート菓子にたとえて、「菓子に比べても、米の値段は非常に安い。生産費をカバーできる米価が必要だ、と消費者に伝えてほしい」と発言しました。

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稲の生育状況を報告する鶴巻純一さん(新潟)

 その後、米屋と生産者との交流では、各産地の状況や、稲の栽培方法などについて熱心に意見交換しました。

 懇親会では、各産直センターが持ち寄った食材を囲み、さらに交流を深めました。乾杯の音頭をとった東京都米穀小売商業組合文京支部の渡邉弘支部長は「準産直米で年間契約しているが、一年を通して同じ値段で取引できる。準産直米を増やしていきたい」とあいさつしました。

 主食用にくず米びっくりした

 展示コーナーでは、各地の米加工品、納豆、飼料米で育てた鶏の卵などが並びました。農民連食品分析センターのコーナーでは、コンビニエンスストアで売られている油まみれのおにぎり、ディスカウントストアで販売されている格安米に含まれるくず米の実験がありました。

 くず米の実験を見ていた関口米店(東京都荒川区)の関口泰子さんは、最近店主の父が亡くなり、そのあとを継いで参加。「くず米が鳥のえさとして売られているのは知っていましたが、主食用に混ぜられているとは…。消費者の多くはいい米を求めています。農家の生活を守る上でも米価はある程度高くなくてはいけないですね」と話していました。

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霜とひょう被害を受けたリンゴ農家への支援を訴えました(青森)

 米屋の気持ち聞いて勇気わく

 千葉県船橋市の米屋さん、「有限会社まきの」の牧野基明さんは五ツ星お米マイスター。食育出前授業などに取り組み、子どもたちを店に招いたり、稲刈りを体験させたりして、米の大切さを伝えています。「子どもたちに興味を持ってもらい、米のよさを知ってもらいたい。昔の米屋さんが地域で取り組んでいたこと」だと言います。

 生産者の佐藤景信さん(福島・浜通り農産物供給センター)は言います。「米屋さんに、米作りの現状や、農薬、化学肥料を減らして安全に心がけていることなどを伝えました。米屋さんから米販売のことなどの話を聞くことができました。お米屋さんも消費者のために本気になって取り組んでいることがわかり、生産者もその期待に応えてがんばろうという勇気がわいてきた交流会でした」

(新聞「農民」2008.9.8付)
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2008年9月

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