「農民」記事データベース20081013-848-01

“税金集中型”から多彩な要求に応じて

なんとしても
農民の要求を基本に

仲間が仲間誘い会員増やし
奈良県農民連

関連/好評の北和センター九条朝市

 毎年、1〜2割もの会員をコツコツと増やし続け、6年間で2倍に前進している奈良県農民連。「農家と農業のことなら“なんでも農民連へ”」「農民の苦悩あるところに農民連あり!」をモットーに、仲間が仲間を誘い、仲間増やしが進む奈良県を訪ねました。


 打ったら響く手応えがある

 「ウチは農民連に入ってて、本当によかった。アンタんとこも、きっと役に立つから、農民連で一緒にやろう」――奈良県屈指の果樹地帯、吉野町の柿農家、稲田博子さんが、隣の果樹農家の小西明子さんから加入を誘われたのは、4年前の税金の季節でした。稲田さんは言います。「ウチは税金申告も助かってるけど、柿や自家用程度に漬けていた梅干しも出荷するようになって、農民連からの注文がすごく楽しみ。農民連に入ってよかったから、知り合いに声かけまくってるの」

 一方、「奈良県農民連には、打ったら響くという手ごたえがある。産直にしても、農政にもの申すにしても、僕らの提案や要求を真正面から受け止めてくれる。農民連に入って、充実してますね」と言うのは、五條市の野菜農家の福谷亀義さん。

 地域センターで要求を出し合い

 「会員の要求を基本に」――奈良県農民連の取り組みもここが出発点であり、目的地でした。転機となったのは、2001年の税金申告の標準表廃止(野菜)にともなう税金相談の急増でした。それまで奈良県連の専従職員は、事務局長の竹島茂直さんただ1人。「会員の要求に応えるには、どうしても地域センターが必要だ」と、一致団結。2003年、3つの地域センター(北和・中和・南和)が発足しました。

 現在は、2週間に1回、3センターの専従職員が参加する会議が、会員の要求を出し合う大切な場となっています。

 竹島さんが言います。「会員さんが会議や生産・生活の現場で“こんなことしたい”とか“こんなこと困った”とかささやいたことを、みんなで実現してきました」

 こうして集められた“ささやき要求”は、税金、流通、直売、農業労災、免税軽油など、多彩に広がっています。なかでも“会員の目の色が変わる”要求は、栽培技術交流や土壌診断、たい肥づくりなどの「ものづくり」に関するもの。

 “ものづくり”が一番元気になる

 「やっぱり農民が一番元気になるのはものづくり。難しく考え込まずに、気軽に専門家の助けも借りながら、“税金集中型”から、多様な要求に応えていけるよう、模索していきたい」―県連の挑戦はまだまだ続きます。


好評の北和センター九条朝市

農民連のひと声がきっかけ
身内・友人・同僚集まった

 「新鮮やし、おいしいし、安いし、この直売はええよお」、「コマツナ、もう出始めたんやね」――毎週土曜日に開く北和センターの「九条朝市の会」の朝市は、早起きして駆けつけた、なじみのお客でいっぱい。身動きもとれないほどです。

 野菜、果物、ジャムやお餅などの加工品、花、お米など、たくさん用意された品物も、あっという間に売り切れ。「ここに来ると、野菜や料理を教えてもらえるのが楽しくて、私の大切な時間なんです」という若いお母さんもいます。

 この朝市の始まりは1年前。「直売してみませんか」という北和センター事務局員の森口いち代さんの呼びかけを聞いて、組合員だった岡本清枝さんが妹の片山しげ子さんを誘ったのがきっかけ。さらに友人やかつての同僚など、あっという間に7組の夫婦が集まって、「農民連北和センター・九条朝市の会」がスタートしました。みんな兼業しており、定年退職後、本格的に農作業を始めたものの、せっかく収穫した野菜は「近所に配り歩いていた」ところへの呼びかけでした。

 多彩な品ぞろえも、みんなで話しあって決めています。「始まってから、1週間があっという間に過ぎるようになった」「売れれば、やりがいもあるし、本当に生きがいだねえ」と、口をそろえるみなさん。

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「九条朝市の会」のみなさん

 「農民連の呼びかけがなかったら、この朝市も始まらなかったし、入り口は朝市だったけど、農民連の活動に参加するようになって、食の安全性や政治のことまで考えるようになったね」「農民連のように“農業を守れ”って政治に物申すところも必要だね」と、農民連への厚い信頼も印象的です。

(新聞「農民」2008.10.13付)
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2008年10月

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