「農民」記事データベース20091123-902-15

農の会

みんなが語った農への希望

長野・伊那で研究会ひらく
地域・自然を生かす農業に学ぶ


 農民連に団体加盟している「農の会」は10月24、25の両日、長野県伊那市で「健康に良い美味しい食べ物を生み出す農業〜地域を活かし、自然を活かす伊那農業に学ぶ」をテーマに、現地交流研究会を開きました。

 1日目は、2005年に宮田村に就農した杉山栄司さんのリンゴ園を訪れました。杉山さんは会社勤めを辞め、長野県の新規就農支援制度の研修を終えた後、「おいしいリンゴを作りたい」とリンゴ栽培に挑戦。「与えられた生産規模を維持していく」ことを信条に、機械も使わず、わい性品種を導入して身の丈に合った経営が成功のもとと説明。今、地域の仲間と勉強会を持ち、熱心に技術や経営の向上を図っています。

 その後、長野県農民連・上伊那産直センターの竹上一彦さんから「白毛餅(もち)の取り組み」について聞きました。上伊那地方では江戸時代からのモチ稲を少数の農家が育てていましたが、白毛餅の取り組みは、これを17年くらい前に組合員が栽培したのがきっかけ。餅にして販売しましたが、無添加なのでカビが出やすく保存で悩まされました。ところが味がいいと、新潟の加工メーカーが近代的な設備で加工からパックまでの商品化を引き受けてくれ、勇気百倍。そして、組合員の共同の力で地域に残った宝を生かし、栽培から加工、販売を一貫して行う「いまふう農業」の在り方を示す「白毛餅」が完成しました。そして今、竹上さんはこの原種を維持するための研究も進めています。

白毛餅の取り組みを報告する竹上さん

 2日目は、郷土史研究家の壬生雅穂さんから「伊那谷における初期のミチューリン農法の歴史」、会社員であった夫と阿南町に就農した伊豆光枝さんから「新規就農ならではの販売展開と今後の資金調達」、獣医師、高田実朗さんから「阿南地域における小規模牛飼い」について、それぞれ報告を受けました。

 壬生さんは「生物と自然環境との関連を大切にするミチューリン農法は、今の環境保全の考えに共通するものがある」と指摘。伊豆さんは「牛を買うにも加工するにもまず資金」と経営の元手となる資金手当ての大切さを語りました。伊那の地形を生かした和牛育成を指導している高田さんは「わらや乾し草、牧草を腹いっぱい食べさせ、運動させて胃の大きい、胸板の厚い牛をつくること」。そして「楽しい農業、誰でもやってみたくなる農業をめざそう」と締めくくりました。

(新聞「農民」2009.11.23付)
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2009年11月

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