「農民」記事データベース20100607-927-02

米価回復・需給安定へ
緊急に政府米買い入れを

関連/広がる農民連と農協の連携・共同をさらに

 農水省が発表している主食用米の相対取引価格は、昨年9月以降、7カ月連続して下落が続いています。原因は、米が過剰基調なのに加えて、不況で消費が低迷しているため。量販店は相次いで「値下げセール」を打ち、不当な値引きや買いたたきも指摘されています。また、10月末には2009年産の持ち越し在庫が大量に発生することは確実で、新米の価格下落は必至です。こうしたなか、米どころの北海道・東北のJAが「緊急に政府米を買い入れ、過剰米対策を!」と要請を行いました。


政府・与野党国会議員に
JA北海道・東北が要請

 北海道と東北のJA中央会でつくる北海道・東北農業対策協議会は5月25日、都内のホテルで「基本農政確立」を求める要請集会を開きました。

 240人以上の生産者、農協関係者が、与野党の地元選出国会議員に、米戸別所得補償制度を安定運営するために、緊急対策として政府米の買い入れ枠の拡大で米過剰感を一掃し、過剰米対策を措置することなど、4項目を要請しました。

 これに先立ち、5月13日には、政府・与党に対し「緊急に政府買い入れの実施」「22年産米以降の過剰米対策の実施」を要請しています。

 JA宮城中央会の木村春雄会長は「出来秋には、40万トン相当の持ち越し在庫の発生が懸念されている。このままでは、さらに米価が下落するのではないか、と生産者に不安が広がっている。米戸別所得補償モデル事業の実施にも大きな支障が生じかねない問題であり、なによりも米価の安定が必要」と述べ、政府米の買い入れ枠拡大と過剰米対策を強く求めました。

 この要請を受けて、各政党の代表は一致して賛同の意を表明。民主党の小平忠正衆議院議員は「米戸別所得補償モデル事業の実施で、『需給調整のための政府米買い入れは行わない』という方針だが、6月末締め切りの加入状況をみながら、過剰米対策をどうするのか、党としても政府に要求していきたい。そうしないと、米モデル事業もおかしくなってしまうだろう」と述べました。

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「米価安定のため、政府米の買い入れ、過剰米対策を政府に求めていきたい」と決意を述べる日本共産党の紙智子参院議員

 こうした動きを受け、JA全中も動き出しました。5月27日、JA全中の冨士重夫専務やJA全農の米本博一常務らは、民主党「食と農の再生議員連盟」設立総会に出席し、過剰米対策を訴えました。

 また卸売業界からも「相当な過剰が予想され、このまま戸別所得補償制度がスタートすれば、米価は下落し業界としても影響が大きい」(全国米穀販売事業共済協同組合の古庄堅治業務部長)と、成り行きを懸念する声があがっています。

 7月下旬から超早場米の出荷を控え、いま米価問題は重大なヤマ場を迎えています。米価安定の緊急対策を求める声を大きく広げることが求められています。


広がる農民連と農協の連携・共同をさらに

宮城県農民連の鈴木弥弘事務局長

 米どころの東北・北海道の農協がこのような要請を行うことは、米価下落に対する相当な危機感のあらわれだ。農民連は昨年春から、米価下落対策をとるよう政府に何度も要求し、地元の農協との懇談、議会請願に取り組んできた。こうした取り組みが農協との共同を広げています。もう一押しです。さらに運動を強めたい。

(新聞「農民」2010.6.7付)
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2010年6月

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