「農民」記事データベース20100614-928-08

ビア・カンペシーナの窓

気候変動および母なる大地の
権利に関する世界民衆会議

モラレス・ボリビア大統領が呼びかけ

関連/「コチャバンバ民衆合意」をボリビア政府が国連に提出


画像 「母なる大地」を「パチャママ」と呼ぶ国、ボリビアのエボ・モラレス大統領は、「人権が尊重されているように、地球の権利も尊重されるべきだ。この権利を認識し環境を回復していく必要がある」と訴え、これまでアースデーとして祝われてきた4月22日を、昨年4月の国連総会で60カ国以上の賛同を得て「母なる大地の日」として承認させました。

 この歴史的な前進をたたえて、昨年9月、ブロックマン国連総会議長からモラレス大統領に「World Hero of Mother Earth」(母なる大地の世界英雄)の称号が贈られています。ビア・カンペシーナ創立メンバーの一人でもあるモラレス大統領のこれらの功績は、ビア・カンペシーナの主張が世界に認識されてきていることを示しています。

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コチャバンバで顔を合わせたヘンリー・サラギ氏とモラレス大統領(右)

 国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15・昨年12月にコペンハーゲンで開催)が失望のうちに幕を閉じてから18日後の1月5日、モラレス大統領は、4月20日から、ボリビア第3の都市コチャバンバで「もう一つの気候変動会議」として「気候変動および母なる大地の権利に関する世界民衆会議」を行うと発表しました。

 4月20日、政府関係者や先住民、社会運動グループ、NGOなど世界142カ国から約3万5000人が、コペンハーゲンで切り捨てられた民衆の声を広げようと、コチャバンバに集まりました。この会議の最大の目的は「世界母なる大地の権利宣言」を議論して合意を得ることでしたが、最終日の22日、コペンハーゲン合意とは違い、「小農と食糧主権確立の重要性」も含んだ新たな国際合意「コチャバンバ民衆合意」が採択されました。


自然と共存、持続できる小農を

「コチャバンバ民衆合意」を
ボリビア政府が国連に提出

 4月26日、ボリビア政府は「コチャバンバ民衆合意」にもとづく提案を国連の気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出しました。さらに5月6日、モラレス大統領は、ビア・カンペシーナなどの市民社会代表団とともにニューヨークを訪れ、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長に「コチャバンバ民衆合意」を手渡し、「ビジネスのための農業開発ではなく、食糧主権の議論をさらに進め、自然と共存できる持続可能な小農を第一に考えるべきだ」と訴えました。

 この会談には、ビア・カンペシーナ代表として国際調整委員であるユン・グンスンさん(韓国)とトマス・バルドウィーノさん(ブラジル)も同席。ユンさんは、「ボリビア政府およびモラレス大統領は、コチャバンバ会議の後、何をすべきかを明確に示してくれた。今回の成果をいかし、12月に開かれるメキシコ・カンクンでのCOP16行動に勝利したい」と述べています。

 ビア・カンペシーナは、COP16を前に、市民社会が国連に対して政治的な働きかけができたことを歴史的な出来事であったと、受けとめています。

(新聞「農民」2010.6.14付)
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2010年6月

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