「農民」記事データベース20100906-939-03

貿易自由化がさらに進むと
日本農業はどうなるのか?

APEC担当大臣会合(新潟開催)に向け
新潟食健連が学習会

関連/食(生活・文化)は子どもたちに夢と希望を育む!


 今年は日本が議長国となって、APEC(アジア・太平洋経済協力会議)が分野別に全国各地で開催されます。民主党はこれを機会に、昨年12月に発表した「新成長戦略」や菅政権による「新成長戦略『元気な日本』復活のシナリオ」で、アメリカや中国、韓国などとの貿易自由化をさらに進めることを打ち出しています。

 これ以上自由化が進められたら国内農業や地域経済は崩壊に追い込まれる―にいがた食と農と健康、教育のネットワーク(新潟食健連)は、10月16日に新潟市で開かれるAPEC食料安全保障担当大臣会合にあわせて、ビア・カンペシーナを迎えた国際フォーラムや抗議の提灯パレードを計画しています。

画像 「いったいAPECとは何か?」「どんな内容の会合になり、何が狙いなのか?」などを事前に学ぼうと8月23日、農民連副会長の真嶋良孝さんを講師に学習会を開催しました。

 真嶋さんは「民主党の『新成長戦略』は経団連が作成した工程表とウリ二つ。APEC加盟国とEU諸国からの輸入量は約9割を占めており、FTAが結ばれればほぼ全面自由化と同じことになる」と指摘し、「米価と労賃の引き上げこそが内需拡大の決め手となり、真の成長戦略になる」と報告しました。

 参加した農家からは「貿易自由化のなかでもうけているのは多国籍企業だけ。輸出する側の農民も、輸入する側の農民も苦しめられている。どう対抗していけばいいのか?」「米価も深刻な状況にあり、自由化が進めばさらに影響を受ける。何としても阻止しなければならない」「10月の市民対抗行動を成功させよう」との質問や感想、決意が出されました。

(新潟県農民連 鈴木亮)


食(生活・文化)は子どもたちに夢と希望を育む!

「教育のつどい」フォーラム2010

 「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2010」が、8月20日から3日間、和歌山市で開かれました。

 1日目の全体集会に先立って7つの「教育フォーラム」が開かれ、会場には1000人以上が集まりました。

画像 第7フォーラムは「子どもの育ちと食・農業・環境」をテーマに行われ、生産者、消費者、学校栄養職員など107人が参加し熱気に包まれました。このフォーラムでは、3人のパネリストが報告。和歌山県農民連の畑敏之さん(紀の川市環境保全型農業グループ会長)は、「地産地消と食育で『いのち』輝く紀の川市をめざし、『いのち』を大事にした農業、食育授業(農業体験)などの取り組みや新規就農者への支援も行っている」と報告しました。

 また、すさみ中学校の栄養士、岡本富美子さんは「9月から子どもたちに、つきたてのおいしいご飯を食べてもらおうと、精米機を購入し学校給食に地元生産者から玄米を入れている」と報告。「子どもたちが笑顔で『安心して食べられるよ』と話してくれ、幸せな気持ちになる」と語りました。

 学校給食の民間委託反対の取り組みをしている新日本婦人の会の府中裕子さん(和歌山支部)は、「大切な子どもたちの給食を、財政が厳しいからといって民間委託を強行するのはおかしいと、4000枚のビラを配布し、5350筆の署名を集めた」と報告しました。その後、会場から質問や発言が相次ぎました。

 まとめの発言に立った新村洋史さん(至学館大学教授)は、「学校給食は子どもの人間発達にとって重要で、いのちの尊さを体験・経験をとおして学ぶ場だ」「『食』(生活・文化)は、すべての子どもに等しく夢・希望を育むもの、生きる力を育むもの」と強調しました。

 21日と22日には、食教育の分科会も開かれ、地域に根ざした教育実践が幅広く報告され、熱心な討論が行われました。4年目に入ったフォーラムと分科会が、教師の教育研究から、地域の農業や産業、環境を守っていく方向を探る場に大きく発展してきていることを強く感じました。

(農民連本部 上山興士)

(新聞「農民」2010.9.6付)
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2010年9月

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