本の紹介
千葉市大空襲とアジア・太平洋戦争の記録
100人の証言
命からがら逃げた地獄の体験、
戦争の世相や貧困をリアルに
昨年秋、全日本年金者組合や平和委員会のメンバーが中心となって「千葉市大空襲とアジア・太平洋戦争の記録100人の証言」を刊行しました。千葉市大空襲とその前後を体験した人たちの証言集です。1945年6月10日と7月7日の2回にわたる千葉市大空襲では、中心市街地の7割が焦土と化し、死者数900人以上、4万人以上の人たちが被災しました。本書には、命からがら逃げまどった地獄の体験と、戦時の世相や生活の貧困、勤労動員や学童疎開など、真実が語られています。
証言者のなかには農民もいます。当時26歳だった堀内徳司さんは中国・山東省の部隊に配属され、八路軍の掃討作戦と中国での軍隊生活、戦地で病気になり除隊後に農業に従事したことなどをリアルに証言しています。堀内さんは戦後、落花生の生産を始め、「農業は平和でなければできない。戦争は絶対に繰り返させてはならない」と語っています。
また、当時15歳だった大塚廣さんは、お父さんが農民組合の運動家で、治安維持法により弾圧され獄中生活を送ったこと、母は「悪いことをしたから捕まったのではない。みんなが大きくなれば分かる」ときっぱり言い切ったこと、小学校では、天皇の宮城は千葉県の西にあるので「西に足を向けて寝てはいけない」「西に向かって唾(つば)をはいてはいけない」と教えられたこと、そして大空襲当時のことなどを証言し、「2度と戦争はやってはいけない。戦争放棄のいい憲法を守りたい」と語っています。
戦争を知らない人たちにも、ぜひ読んでほしい貴重な証言集です。
▼定価 1000円
▼問い合わせ・注文は、伊藤章夫さん TEL 080(5305)3739まで。
(新聞「農民」2010.9.20付)
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