TPP 全労連はなぜ反対なのか
全労連事務局長 小田川義和さんに聞く
  
 国内産業構造を大きく変えるTPP 
雇用など労働者にも悪影響
  全国労働組合総連合(全労連)は11月2日、「TPP(環太平洋連携協定)への参加決定に反対する」との談話を発表しました。事務局長の小田川義和さんに話を聞きました。
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 TPPは関税撤廃が原則なので、わが国の農林漁業が壊滅するという大問題が焦点になっていますが、それだけではありません。アメリカと財界の要求にそって、人とカネ、モノの流れなど貿易の障壁となっているものを撤廃し、国内の産業構造そのものを大きく変えようとするものです。労働者にも広範な影響が生ずる恐れがあります。 
 第一に、1995年にWTO協定が発足して貿易の自由化が進んだ結果、労働者・国民の生活は豊かになったのでしょうか。非正規労働者が爆発的に増加し、賃金が減少するなどすべての労働指標が下がっています。「大企業のもうけがしたたり落ちて国民を潤す」という経済理論の破たんは明白です。 
 第二に、農林漁業の衰退は、宮崎県で起きた口蹄疫(こうていえき)でも明らかになったように、地域経済に計り知れない影響を及ぼします。TPPへの参加で、農水省でも340万人の雇用消失を試算しています。いまでも地域経済はたいへんな悲鳴をあげていますが、これ以上悪化させてはなりません。 
 第三に、菅首相や財界はTPPへの参加で「国を開く」と言いますが、開けばいろんな水が入ってきます。国内の対策は講じられているのでしょうか。 
 すでにわが国は、EPA(経済連携協定)でフィリピンやインドネシアなどから看護師や介護福祉士などを受け入れていますが、より広範囲な職種の受け入れが求められるでしょう。労働者の雇用条件や社会保障が守られるのか、このままでは“派遣村”が恒常化する危険があります。 
 私たちは農民連のみなさんとともに、食健連に結集して20年にわたって食と農、そして地域を守る運動に取り組んできました。この経験をいかして、TPP阻止のために、地域から大きなたたかいのうねりをつくっていきましょう。全労連も全力でがんばります。 
         (新聞「農民」2010.11.15付) 
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