急がれる生活費手当て東京電力と政府の責任で
白石地震対策本部長 今度は福島へ3月25日朝、全国から福島県農民連の事務所に寄せられた救援物資をワゴン車に満載して、福島県北農民連の服部崇さん、浜通り農民連の中井信也さんと、相馬市の北にある新地町へ向かいました。
新地町では、目の前に津波で一面ゴミの山と化した水田が広がります。役場庁舎だけが奇跡的に津波の被害を逃れたそうですが、ここで自衛隊員が煮炊きする施設のない避難所へ食事作りをしていました。対応した町の職員は、生鮮野菜がまったく不足していることや、風呂や洗濯用品を求める被災者が多いと、話してくれました。
牛は家族同然、見捨てられないその後、新地町や相馬市、南相馬市の農家を訪ね激励しました。相馬市の稲作農家は家が高台にあったため難を逃れました。津波の時は、後継者の息子さんが、津波で流されてきた人を危険を顧みず濁流の中から助けたそうです。別の農家は、「こんな所まで津波が押し寄せて来るとは思ってもみなかった。海水が引かず、今年の作付けができないのではないかと心配している」と話していました。南相馬市で自宅に避難している浜通り農民連の女性事務局員の方は、「避難所に行った人たちも環境の悪化やインフルエンザ、胃腸炎の蔓延(まんえん)などで自宅に帰っている人が増えている。避難所へ行っている人たちから、電話で牛や犬などの世話を頼まれ忙しくしている」との話に、ホッとさせられました。また「家族で避難所に退避していたが、牛が心配で一人で自宅に戻り、牛の世話をしている」という酪農家も、「家族同然の牛は見捨てられない」と言います。
“バカにした話だ”政府に憤慨の市長南相馬市の桜井勝延市長とお会いしました。政府の枝野幸男官房長官から、「原発事故の件で屋内退避から自主避難に切りかえたい」との電話があり、その理由を尋ねたが理由は示されなかったとのことです。市長は「まったくバカにした話だ」と憤慨していました。そして「食料品をはじめ物資が届かず、乾パンやカップヌードルばかりで生鮮野菜は口にしたことがない」と話されていました。工場再開の動きもあり1000人単位で避難所から市民が帰ってきているそうです。政府がもっと責任を持って住民への支援を行う必要があると、強く感じました。
野菜や原乳の出荷停止は、農家の心痛に追い打ちをかけています。とうとう自殺者も出てしまいました。その原因が原発にあることは明白であり、完全な被害補償を行うことは当然のことです。同時に、いま急がれることは、生活費をまかなう収入の道を奪われた農民に、緊急・無条件に生活資金を東京電力と政府の責任で手当てすることです。 (白石淳一)
千葉県農民連支援第3便被災地で不足の生鮮野菜
3月25日朝、千葉県連支援第3便が福島県農民連にむけて出発。4トントラックには、千葉県連の仲間から寄せられた熱い思いのこもった支援物資が満載です。 |
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3月18日、 農民連関東ブロックのトラックが福島へ向け出発 |
福島では、持ち込まれたばかりの野菜やくだものを、避難所の人数を確認しながら運び出しました。避難所では、食料を確保するために、被災者自らが救援物資支援センターを回っていました。
福島県連の話では、野菜が極端に不足しており、調理が可能な避難所ではダイコン、ジャガイモ、ゴボウ、ネギのほかに、コマツ菜、ホウレンソウなどの葉物も必要としているとのことでした。改めて物心両面の援助が求められていると感じました。
[2011年4月]
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