「農民」記事データベース20110627-978-01

震災から3カ月 復興への挑戦語る

地震 津波 原発事故
三重苦のなかの南相馬市(福島県)

浜通り農民連創設時からの会員
桜 井 勝 延 市長

関連/ご協力ください 東日本大震災救援募金/放射能測定機器導入募金

 東日本大震災からちょうど3カ月がたった6月11日。東京電力福島第一原子力発電所の北に位置する福島県南相馬市の桜井勝延(かつのぶ)市長を訪ねました。桜井市長は稲作農家で、農民連創設時からの会員です。また桜井市長は、震災と原発災害で市が孤立し、食糧などの物資が届かない状況を映像で世界中に訴え、アメリカのタイム誌が「世界でもっとも影響力のある100人」の一人に選んだことでも知られています。南相馬市は、地震と津波、原発災害の三重苦のなかで、死者542人、全壊住宅4682戸、そして3万人以上の市民がいまも避難を余儀なくされています。


農家の無念の思い受け継ぎ
必ず農業を再生させたい

 どこに逃げるどう生活する

画像 農民連のみなさんには、震災後、いち早く支援をいただき、あらためてお礼申し上げます。

 大震災から3カ月がたちましたが、まだ行方のわからない方が150人以上もおられるし、原発事故はいまだ収束せず、あらたに年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超える恐れのある地域が見つかるわけですから、被害状況から脱しきれていないというのが現実です。一方では、避難していた人が戻ってきていますが、まだ半分です。地域の経済的なパワーからいえば、半分にも戻っていません。

 立ち入り禁止の「警戒区域」では、家畜を殺処分するといっても、つながれたまま死んでいます。政府は20キロ圏内を立ち入り禁止にしましたが、どこに逃げるのか、どう生活するのか、何の対策も示しませんでした。政府が指示しておいて、代替措置は何もしない。これが一番困りました。農家は「何、考えてんだ!」って、私のところに来ました。それからですよ、政府とケンカみたいになったのは。

 どんな形でも復旧していく

 どんなかたちでも、いずれ農業を再生していかないといけません。塩害もあるし地盤も沈下しているから、短期的には無理なところも多い。もちろん、復旧できる田んぼはやるんですが、すぐに復旧できない田んぼは、市が農地を一定の料金で借り上げて太陽光発電でパネルを張らしてもらうとか、ソーラー基地をつくって売電で収入を得るということも一案ではないかと思う。政府にもお願いしていますが、ヨーロッパのように買い取りを義務付けして、国が電気の買い取り価格を決めてほしい。被災した人たちが自分の土地を使って収入が得られるような形をつくっていくことが必要です。

画像
左から、浜通り農民連会長の杉和昌さん、桜井市長、浜通り農産物供給センター代表理事の三浦広志さん

 世界的視野で復興を考える

 大事なことは、可能なことはなんでもやることです。いままでの経験にとらわれず、世界中のあらゆる人たちから技術や知恵を出してもらい、それを受け入れていろんなことに挑戦していく姿が必要です。すでにアメリカやヨーロッパ、日本の学者や企業などから「私たちはこんなことができる」という“売り”に来ています。職員には「世界的な災害なんだから、世界的な視野に立って復興を考えろ。未来に挑戦できる街なんだという感覚で仕事をしようじゃないか」と言っています。

“世界の南相馬”になっていくんだという気概、メッセージ力が求められていると思います。

画像
いまも田んぼに漁船やガレキが…(南相馬市)

 “生きることをあきらめるな”

 農家のみなさんには、われわれもがんばりますから「生きることをあきらめちゃいけない」ということを強く言いたい。津波で田畑を流され、亡くなった農家も多い。みんな必死に農業でメシ食ってきた連中だった。そういう無念の思いを受け継いで、南相馬の農業をなんとしても再生させていきたい。


ご協力ください
東日本大震災救援募金
振込先口座 ゆうちょ銀行総合口座
       10030―61671711
      (他の金融機関から振り込む場合は、
       ゆうちょ銀行008支店 普通6167171)
口座名義  農民連災害対策本部
放射能測定機器導入募金
振込先口座 ゆうちょ銀行振替口座
       00160―6―773542
      (他の金融機関から振り込む場合は、
       ゆうちょ銀行019支店 当座0773542)
口座名義  農民運動全国連合会分析センター

(新聞「農民」2011.6.27付)
ライン

2011年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会