原子力損害賠償紛争審査会第8回会合東電、“居直り強盗”発言責任省みず賠償額値切りに終始
福島第一原発事故の損害を話し合う「原子力損害賠償紛争審査会」(以下、審査会)の第8回会合が、6月20日、文部科学省内で開催されました。 原発事故を引き起こした東京電力が、この日初めて審査会への出席を許され、賠償金の仮払いなどの現状を報告しました。しかし東京電力の廣瀬直己常務は、報告の冒頭から「巨大な賠償額が予想され、政府の支援がないと、早晩、補償ができなくなる」「原子力損害賠償支援機構法案を、一刻も早く立法化してほしい」などと、“居直り強盗”のような発言を繰り返しました。 また持ち時間の半分近くを割いて、「今後の補償に向けた取り組みと課題」として、5項目の「当方の勝手なお願いごと」(廣瀬氏本人いわく)を披れき。「地震・津波の被害と、原子力損害の切り分けが難しい」「風評被害については、原因競合が考えられる(つまり風評被害全部が原発事故が原因とは言い切れない、という意味)」など、原因企業としての責任を省みず、少しでも賠償金額を値切ろうとする姿勢に終始しました。 仮払いの現状については、農林漁業者へのこれまでの支払いが栃木、茨城の農協など4団体、約12億円となっていることや、避難住民への賠償なども含む賠償業務の体制が、全体で1000人程度であることを報告しました。 これに対して、審査会の委員から「農林漁業者への仮払いを2分の1に制限しているが、その根拠が明確でない」(能見善久・審査会長)、「東京電力は、『農業への被害は、事故がなければ農産物がいったいいくらで、どれくらい売れたのか、証明が難しい』と言うが、第1次指針で前年実績から推定する手法が記載されており、その方法を現場でやらないのか」(中島肇・桐蔭横浜大学法科大学院教授)など、厳しい批判の声が上がりました。
審査会で精神的損害への賠償額決めるまた審査会は、5月末に出された第2次指針に追加するかたちで、避難生活による精神的損害(苦痛)への賠償額を決定。(1)事故発生から6カ月間(第1期)は、基準額を1カ月あたり1人10万円とし、避難所で生活した人は12万円、(2)6カ月後から1年(第2期)は、1人5万円、(3)1年後から終期(指針の効力が消滅)まで(第3期)は、事故の収束状況を見ながらあらためて検討する、としました。
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[2011年7月]
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