農山村の再生可能エネルギーの宝庫(3/3)全国代表者会議での和田武さんの講演(要旨)
先進地・ドイツから学ぶリュプケ・コーク村の風力発電リュプケ・コーク村は、北海沿岸の干拓地の農村で、寒くて作れる作物も限られていたため、農民は貧しく、非常に苦労して生活してきました。過疎化も深刻でした。しかし1991年、風力発電の電力を買い取る制度が始まり、最初は40戸の村民が出資して風車を建設し、事業が成功。現在では村の成人全員が参加して、人口がわずか160人の村で、32基、4万ワット、村の消費電力の4〜5倍を発電するにいたっています。 最初の出資者は銀行への返済も終わり、売電収入だけで日本円にして500万円程度、農業収入に匹敵するほどの収入となっています。 ある高齢の女性は、「自分たち夫婦は入植後、苦労して農業をしてきたが、こんなに厳しい生活なので、4人の子どもたちは大学に進ませ、都会に出そうとした。3人は村外に就職して、跡継ぎはあきらめていた時に、末っ子の四男が就農した。それは風力発電で収入があって、農業も続けられるので後継者になったのだ。今は夫婦で悠々自適の引退生活を送っているが、これは風力発電のおかげだ」と語っています。
ローデネ村の太陽光発電デンマーク国境のドイツ最北のローデネ村は、「赤い鼻」という意味で、冬は誰もが鼻が赤くなるくらい寒い所ですが、ここでも村民が作った大規模な太陽光発電が取り組まれています。
この村の太陽光発電は非常に高緯度にあるにもかかわらず、この村の工学博士が5分ごとに太陽光を追いかける台を発明したために、日本より2割多い発電ができています。このため売電収入は、買い取り制度によって20年間入ってきますが、7年くらいで初期投資を回収でき、残りの13年間は年間数十万円の収入になります。 設置されている草原には羊が放牧されていて、パネルの高さも羊が行動しやすいように調整されています。 さらにこの村では、ソーラーパークローデネという村民出資の会社をつくり、近隣の村でも5万4000キロワットというさらに大型の太陽光発電を行っています。この発電には企業投資もかかわっていますが、村民も出資し、3000キロワットの買電収入が地域に還元される仕組みになっています。
(新聞「農民」2011.7.18付)
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[2011年7月]
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