「農民」記事データベース20111017-993-07

本の紹介

浅見輝男 著
土壌と農作物の放射性核種汚染


土壌や農産物汚染の詳細な研究調査書

画像 東日本大震災にともなう福島第一原発事故は、大量の放射性核種、特にヨウ素131と放射性セシウム(セシウム134と137)を大気と海に放出しました。また、ストロンチウム90の放出もありました。

 一方、1945年からアメリカ、旧ソ連、イギリス、フランス、中国によって423回にわたって行われてきた大気圏内核爆発実験は、世界的な環境汚染をもたらしました。大気圏内核爆発実験によって放出された放射性核種は、大気中で拡散し、放射性降下物として地上に落下。空気、土壌、陸水、海水を汚染し、陸生・海生生物に被害を与えました。

 日本にも大気圏内核爆発実験によって放射性核種が降り注ぎ、土壌や農作物を汚染しましたが、今回の原発事故による汚染は、そのときの数千倍、数万倍であり、日本人が今まで経験したことのない、放射性核種による汚染が直接的には東北、関東、東海地域に、間接的には汚染牛肉のように全国に広がっていきました。

 本書では、放射性セシウムによる福島県やその周辺県の土壌汚染と、ヨウ素131、放射性セシウムによる農作物、牛乳・牛肉、魚等の汚染について、現在までにわかっていることを解説しています。

 また、大気圏内核爆発実験によって日本に降り注いだセシウム137とストロンチウム90による土壌と農作物汚染の調査研究に加え、1986年に旧ソ連で起こったチェルノブイリ原発事故による土壌と農作物、牛乳・牛肉汚染についての調査研究を紹介しています。

 著者は、環境土壌学の第一人者で、今後さらに深刻化するであろう、土壌汚染問題の基本情報として本書を緊急出版しました。原発ゼロをめざし、原発被害とたたかっている多くの人々に読まれ、運動の糧になることが期待されます。

▼定価=2100円
▼問い合わせ アグネ技術センター TEL 03(3409)5329

(新聞「農民」2011.10.17付)
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2011年10月

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