「農民」記事データベース20120206-1007-12

手記 私の3・11
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すべてを元にもどすため
東電には絶対責任とらす

茨城・稲敷市 野菜農家 四ツ谷和之(31)

 東日本大震災で私が一番初めにしたことは、野菜を支援物資として送ったことです。

 震災直後、「被災した仲間へ野菜を送ってほしい」という依頼が来ました。私は比較的震災の影響が少なかったので、私の栽培している野菜を仲間とともに送りました。被災地では、野菜がまったくないとのことを聞きました。

 この時、野菜の必要性と、この先も農産物を作り続けていかなければならないとの使命感を覚えました。確かに今の時代、輸入でいくらでも手に入るのかもしれませんが、今回のような万が一のとき、「日本の農業が衰退し農産物がなかったら」と考えると恐怖を覚えます。

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「東電はホウレンソウの賠償をしろ」と求める四ツ谷さん=2011年4月26日、東電本社前

 私の力など小さなものですが、そんなことにならないためにもできる限り、これからも農産物を作り続け、日本の農業を衰退させないようにがんばりたいと思います。

 そしてその直後に起きた福島第一原発の事故です。これによって日本の農業がとてつもない打撃を受けたことは事実です。そのため私は、農民連の仲間とともに損害賠償請求運動を起こしました。なにもしていない農業者が、なぜ一方的に苦しめられなければならないのか!

 失ってしまった信頼や壊滅的になってしまった経営状態を元に戻すためには、事故を起こした東京電力に責任をとってもらうしかない。自分のため、そして他の農業者のため、絶対にあいまいにさせないとの思いでがんばってきました。そして賠償の一部を得ることができました。

 ですが、いまだ収束しない原発事故、農産物への不信感、それに伴う風評被害など、解決していないことがたくさんあります。

 私はどんな状況になったとしても農産物の生産を続け、日本の農業を守りたい。今回起きたことで食の大切さを実感させられたのですから、今まで以上に強い気持ちで、農産物を作りたいと思います。

(新聞「農民」2012.2.6付)
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2012年2月

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