「農民」記事データベース20120716-1029-03

明確になった「米不足」

――問われる政府の責任

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 備蓄用超古米に申し込み4・4倍

画像 農水省が6月26日に行った備蓄米の売却は、4万トンの販売に対して全国の106業者から17万7000トン余りの申し込みがあり、価格も2007〜2009年産の超古米にもかかわらず、総加重平均で60キロあたり1万3845円の値をつけました。

 農水省は、今回の措置は震災による不足分の供給で「特例」であり、需給調整対策ではないと強調しています。しかし、入札の結果は市場に米がない「米不足」状態であることをはっきり示しました。

 生産調整を強化しながら米屋さんに米が回らず、消費者に超古米を食べさせる事態を招いた政府の責任は重大です。

 超古米は外食やコンビ二弁当向け?

 今回の放出は、炊飯協会やコンビニ弁当業界などの求めに応じたもので、落札業者には精米での出荷を条件にしました。これらの超古米がまもなく外食やコンビニ弁当などに出回ることが予想されます。すでに、低価格米の不足を理由に中国産などの輸入米も出回っています。今後、消費者は「原料米を気にしながら外食や弁当を買わなければならない」ことになります。

 あてにならない農水省の需給指針

 農水省の需給見通しでは、主食用米の今年の6月末在庫は昨年より「8万トン増える」としてきました。実際の数値はまもなく明らかになりますが、示される数値も需給指針も信頼性に疑問を持たざるをえません。アテにならない指針で生産調整を押し付けられる生産者も、不安定な需給と価格に振りまわされる中小の米業者も、たまったものではありません。

 食べられる備蓄わずか二十数日分

 農水省は不作時のためとして100万トンを備蓄し、5年間保管後にエサ米などに処理することにしています。2011、2012年産ではそれぞれ20万トンの買い入れを計画しながら、買入価格が安いため11年産で7万トン、12年産で8万トンしか調達できていません。あせる農水省は、10年産で民間が隔離したエサ米用の米を主食用に8万トン買い入れる始末です。今年の秋以降は、5年以内のまともに食べられる備蓄米は五十数万トン、国民の消費量の二十数日分しかありません。

 米不足は今、業者間の間で深刻ですが、今年の作柄次第では消費者に影響が及び、いざというときの備蓄米すらあてにできないのが実情です。

 米を市場任せにする一方で、需給調整を農家の生産調整だけで行う政府の身勝手な米政策はもはや限界です。市場任せの米政策をあらため、ゆとりある需給計画と国が需給と価格の安定に責任を持つ米政策へ早急に転換すべきです。

(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)


カンパのお願い

農民連青年部部長 杵塚 歩

ビア・カンペシーナの地域青年集会成功へ
(山形県南陽市で開催・8月30日〜9月5日)

 8月30日から9月5日まで、第5回ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域青年集会と「夏の学習交流集会」が山形県南陽市で開催されます。

 ビア・カンペシーナの青年集会は、国際連帯をさらに深めるためにも、また農民連の名を世界に発信するためにも、是が非でも成功させたいと青年部一同はりきっているところです。

 しかしながら、この取り組みを成功させるためには少なくない資金が必要です。そこで青年部員は、あらゆるところに出向いて多くの賛同と支援を訴えています。ぜひ、会員、読者のみなさんにも広くご協力をいただきたく、よろしくお願いいたします。

▼カンパの送り先 ゆうちょ銀行 郵便振込口座00110―5―576231 農民運動全国連合会青年部

(新聞「農民」2012.7.16付)
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2012年7月

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