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岩手県北部、北上山地の山懐に抱かれた葛巻町は、いち早く再生可能エネルギーの導入に取り組んできた町として、いま全国から大きな注目を集めています。葛巻町の取り組みに学ぼうと、全国食健連が6月27、28の両日、視察ツアーを企画。前町長の中村哲雄さんの案内で、40人が風力発電所やバイオマス発電施設、製材所などを熱心に見学しました。(満川暁代)
ところが葛巻町には、1750キロワットの風車12基をはじめ、家畜たい肥を活用したバイオマス発電や太陽光発電、木質バイオマスなど5種類の再生可能エネルギーの発電施設があり、町の電力自給率は166%に達しています。「町にないものを外からもってくるのではなく、地域にあるものを生かして、いかに産業を振興し、人々が住み続けられるようにするか。それが本当の地域振興ではないでしょうか。自然エネルギーの活用は、まさしく葛巻に合った地域振興策だったのです」と中村さんは言います。
その先駆けとなったのが、風力発電です。葛巻町では30年前から高原を大規模な牧場として開発してきました。障害物のない牧草地は風力も十分で、1999年に400キロワットの風車3基、さらに2003年には1750キロワットの風車12基が建設されました。この12基の風車の年間予想発電量は、一般家庭約1万6000世帯分に及び、その売電収入は年間で4・3億円に達しています(管理経費1〜2億円)。
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高原に建つ葛巻町の風車。牧草地には岩手県特産の肉用牛が放牧されている |
また2003年からは、畜産ふん尿と家庭生ゴミをメタン発酵させるバイオマス発電にも挑戦。いまのところコスト面では見合っていませんが、発酵後は悪臭がしない良質な液体肥料になり、農家からも好評です。
しかし7月から始まった再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度では、設置費用などの経費を含めた価格が設定されていることから、国は新たな設備への補助事業を大幅に見直しています。中村さんは「固定価格買取制度は、自然エネルギーへの追い風になってほしいと思っています。しかし、電力会社に全量買い取りの義務が課されていないなど抜け穴もあります。普及の勢いを落とさないためにも、国や県の補助事業をやめるべきではありません」と話しています。
[2012年7月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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