「農民」記事データベース20120910-1036-06

JA全国大会への思い語る

全農協労連・農農研がシンポ


危機意識への解決策・具体策ほしい

画像 全農協労連と農業・農協問題研究所は8月19日、都内で「第26回JA全国大会への思いを語るシンポジウム」を開きました。

 全農協労連の斎藤裕委員長が「10月に開催されるJA全国大会の『組織協議案』を大いに討論し、私たちの意見を反映させよう」と主催者あいさつしました。

 大妻女子大学の田代洋一教授が「組織協議案の分析」と題して基調講演。議案では、「人件費を主体にしたコスト削減は限界レベルに達し、事業の縦割りでJAの総合性はみえなくなった」と反省している点を紹介。また、10年後には組合員が16%減、出資金23%減、共済契約者16%減になると試算するなど、「危機意識があらわれている」と述べました。

 その反省にたって、支店の拠点化を進め、10年後のJAのめざす姿を示しながら、それに向けて3年間に地域の農業、くらし、経営基盤の3つの戦略を提起している点を指摘しました。

 田代氏は、10年後の厳しい状況と「めざす姿」とは矛盾していると述べ、議案は全体を通して「危機意識はあるが、解決策、具体策に乏しい」と批判しました。

 その後、4氏が「私がJA全国大会に望むこと」をテーマに発言。ゆうき青森農協の大関政敏組合長は「TPP参加反対の運動を断固として展開していきたい。組合員を中心に地域に根ざした総合事業の機能を最大限に発揮して取り組んでいきたい」と述べました。

 全農協労連全農部会の遠田正部会長は、水田単作地域で重要な役割を果たしてきた営農指導の農協職員が大幅に減らされ、大きな影響が出た事例を報告しました。

 京都府農協労連の西山良男委員長は、「とくに中山間地で高齢化・担い手不足が深刻化するなか、耕作放棄地の拡大や鳥獣害対策など問題が山積し、営農組織や農家組合員は5年後を予見できないでいる。しかし議案では、そうした問題に対する具体策が示されていない」と批判しました。

 埼玉農民連の立石昌義会長は、JA県中央会と埼玉県消費者団体連絡会とで「TPP等問題を考える埼玉の会」を発足させ、「県民レベルの運動に発展させたい」と決意を述べました。さらに、「消費税増税や放射能被害の損害賠償、原発ゼロへのたたかいでも、JAが先頭にたってほしい」と期待を語りました。

 最後に、「現在抱えている問題点と目標をつなぐ『実行方策』を早急に描くこと」などを求めたJA全国大会に向けた「私たちの提言」を採択して閉会しました。

(新聞「農民」2012.9.10付)
ライン

2012年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2012, 農民運動全国連合会