国産よりも1割安西友
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関連/ばらつき、うまみなし、外食向き… /国産米と比較してみると… 低品質は数字でも明らか /雨少なく不安定な生産 オーストラリア米 |
西友の米は、玄米で輸入し卸業者の(株)ヤマタネが精米した中粒種で表示は複数原料米。
西友の広報担当者は、「低価格米が品薄なので品ぞろえのため、味と安全性、価格の3つの基準で検討した結果、豪州産米になった」と弁明します。しかし、政府の業者への売り渡し価格を昨年11月入札分でみると、精米換算で1キロ321円(税込み)でした。原料米としては国産米のコシヒカリ並みの価格で、業者の言い分は成り立ちません。
アメリカ産や中国産も同じ水準の価格でした。しかも、西友の販売価格は原価を下回っていて、一部に言われている「輸入商社から業者に割り戻しがある」のか、疑問がわきます。いずれにしても国民の輸入米アレルギーの払しょくとTPP参加を想定した動きと見なければなりません。
この米は毎年、77万トンずつ輸入されるミニマムアクセス米のうち10万トンを主食用として、売買同時入札(SBS)方式で輸入されたものです。昨年11月の豪州産の入札では輸入商社の政府への売り渡し価格は、1キロ161円にすぎません。
しかし、購入希望が殺到し、業者は関税に相当するマークアップを1キロ160円も上乗せし、1キロ321円で政府から買い入れているのです。TPPに参加し、関税が撤廃されれば1キロ161円で無制限に輸入されることになりかねません。
農水省はTPPに参加すれば残ることができる国産米は1割と試算していましたが、現実味をおびてきたいま、TPP参加反対の声を大いに高めることが求められています。
身土不二―人の命と健康は土とともにある―という言葉の通り、私たちは、土の恵みを受けて生きてきました。これは水でもいえます。
日本でおいしいお米が作れるにもかかわらず、外国の土と水で育った米を持ってくるのはおかしい。まして米は日本人の主食です。
こだわりの米を販売することで、農家の思いや姿を消費者に伝え、消費者の望みを農家に伝えたい。つまり、生産者と消費者、人と人とをつなぐ手伝いができれば、と考えています。
食味計(静岡精機製)は、水分やタンパク質などの成分で食味値を計測し、80点以上をAランクとしていますが、豪州産は61点。愛知県の品種でBランクとされる「あいちのかおり」でも78点を出しており、豪州産米の品質の程が数字の上でもでています。
ところが今世紀に入って、10年近くもの間、この地域は深刻な水不足に苦しんできました。当然、2つの河川のかんがい用水も激減し、米の生産量はピーク時(2000年)の118万トンから2007年には1・3万トンまで落ち込み(グラフ)、輸入国に転落しました。
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干ばつで底をみせるオーストラリアの湖(2007年、北海道農民連撮影) |
しかも、この干ばつは地球温暖化によるもので、今後も深刻化、常襲化するという研究報告が、世界各国の科学者から相次いでいます(気候変動を科学的に研究・評価する国際機関であるIPCCなど)。今は輸出できても、いつまた輸入国に転落するかわからない――それがオーストラリアの米生産なのです。
[2013年3月]
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