「農民」記事データベース20130506-1068-11

都市農業守り振興へ力発揮を

農民連 1都2府6県が参加


各地の取り組みを交流

 農民連は4月24日、都内で、都市農地を守り、都市農業の振興を図る交流会を開き、東京、埼玉、千葉、愛知、京都、和歌山、大阪、奈良、岡山の1都2府6県から参加しました。

 はじめに、齋藤敏之常任委員(都市農業対策部長)が、交流会の目的を説明。「各地の取り組みを交流し、農水省が進める『都市農地を守ることと都市農業の振興』の検討課題についての農民連の要望をまとめ交渉に生かそう」と述べました。

 同時に、農水省の「中間とりまとめ」と、国土交通省社会資本整備審議会の「中間とりまとめ」についてふれ、市街化区域農地の位置づけや保全、農業振興の責任を、国や自治体の役割に言及している農水省と、『民間活力』を強調する国交省の違いを解説し、今後の、都市農業振興に向けた取り組みや運動について提起しました。

 交流では、大阪の代表から府の都市農業振興条例について報告があり、「多様な担い手を育成し、農空間を守る、安全安心な農産物を供給する――などを柱としている。橋下府政の下で予算が大幅に削減され、財政的な裏付けが伴っていない」と指摘しました。

 また、「相続税支払で農地の売却をせざるを得ず、大規模開発が起きている」(埼玉)など、都市農業をとりまく厳しい実態がだされました。さらに、「いま市民農園や体験農園など農業に対する関心が高まっている。都市農業の問題と結んでTPP反対の運動を提起していくべき」などの提案が出されました。


相続税納税猶予の対象に
施設用地を

農水省交渉

画像 引き続き、交流会参加者は、農水省交渉を行いました。農業用施設用地を相続税納税猶予制度の対象とすることについて、農水省が「ほかの商業施設などとのバランスの上で考えなければならない」と、事実上拒否。参加者は「1年中稼働する商業施設や工場と違い、耕運機やトラクターなど稼働が期間限定のものもあり、置き場所が必要だ」などと反論しました。

 次に、相続税納税猶予の指定要件を終生営農から営農条件に合わせて弾力化することを求めたのに対し、「要件を厳しくしないと農地を守れないのでは」と答弁。これに対し「厳しすぎるから農地を手放してしまうことになる」と反論しました。

 相続税納税猶予農地の貸借条件を弾力化することについては、今年度の税制改正で、「農業に従事することを不可能にさせる故障」として「両手の一部の指を欠損した場合」、「高齢による心身の衰えにより、家族の介護が必要な状態となった場合」などが追加されたことが紹介されました。

 最後に、都市農業振興基本法の制定をはじめ、都市農業を振興させる政策を講じることについて、農水省は「与党などでも基本法の制定を検討している。状況を注視しながら、対処していきたい」と答えました。

(新聞「農民」2013.5.6付)
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2013年5月

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