TPP問題にどう対処するか
国際アジア共同体学会がシンポ開く
交渉参加に異論相次ぐ
TPPで格差・貧困広がる
公約破りの政治許さぬ声を
農業大国・健康大国日本再び
国際アジア共同体学会の春季シンポジウムが5月12日、専修大学の神田キャンパスで開かれました。1部から4部まで行われ、第1部は「歴史認識問題をどう乗り越えるか」、第2部は「TPP問題にどう対処するのか」のテーマで討論しました。
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討論する(左から)大西(司会)、金子、鈴木、馬渕の各氏 |
2部のTPP問題では、3氏が基調報告。慶應義塾大学の金子勝教授は、「株価の動向と内閣支持率が強く連動しているのが最近の傾向だ」と述べ、アメリカ好みの政策をとらないと株価は上昇しないなど、TPP問題浮上の背景を指摘しました。
さらに、TPPの性格として、アメリカがアジア市場の取り込みをねらい、その市場が米国内法に基づくルール圏にならざるをえないことを述べました。
最後に、「目先の株価に振り回され、国民の懐はいっこうによくならない。TPP参加で、格差・貧困がさらに広がることを危ぐする」と懸念を表明しました。
東京大学の鈴木宜弘教授は、TPP阻止を公約にした国会議員が参加を容認している点を厳しく批判。今後、「農産物関税の聖域については一切譲らない」ことが日本の民意であることをアメリカ側にしっかりと伝え、アメリカ議会の90日の承認手続きで日本の参加を承認できない状況をつくり出す必要性を強調しました。
さらに、「公約破りの政治を断固として許すわけにはいかないという全国の声を総結集して、覚悟ある政治を促すための大きなうねりをつくり出そう」と呼びかけました。
元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は、TPPの意義について、海外への立地で、アメリカ人の雇用を喪失させたアメリカ製造業の国内回帰の促進や、アメリカ製品の輸出対象であるアジア市場をアメリカ型市場ルールに従わせることが目的だと説明しました。
また、「TPP問題を機に、日本の国柄を再発見し、農業大国・健康大国日本を取り戻そう」と訴えました。
コメンテーターとして、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子事務局長が発言。安倍首相の参加表明後、失望感とともに、「中身がよくわからない」という人もいることを紹介し、中身をよく知らせ、反対の世論を大きくしていくことの重要性を強調しました。
(新聞「農民」2013.5.27付)
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