「農民」記事データベース20130610-1072-07

TPP参加をとめる!
5・25大集会

アジア太平洋資料センター
内田聖子事務局長の報告

関連/TPP参加をとめる!5・25大集会
  /5・25大集会 参加者の声


 TPPペルー交渉はどうだったのか。PARCの内田聖子事務局長が「5・25大集会」で行った報告に、他のインタビューに答えたものを補足して紹介します。

交渉難航で企業が強い圧力

 交渉の秘密性がさらに高まる

画像 きのう(24日)TPP交渉が行われていたペルーの首都リマから帰ってきました。私は、アメリカの市民団体パブリック・シチズンの一員として参加しました。

 TPP交渉の現場では、各国の企業、なかでもアメリカの多国籍企業などが押しかけて、交渉官にさまざまな圧力をかけていました。

 3月にシンガポールの交渉にも参加しましたが、そこでもたくさんの企業が来ていました。そこでは交渉の合間に自らの利益を訴え、いわば商談をしているわけです。

 国と国との交渉であるはずのTPPが、その裏では、企業の思惑が最大限に反映されています。この実態は、日本はまだ参加していませんから、なかなか知ることはできません。

 今回はとくにガードが固く、「情報がまったく取れない」とみんな口々に言っていました。交渉が終盤にさしかかり、リーク文書など出たら大変なことになるというので、秘密性がさらに高まっていました。

 私を含む国際NGOは、人権や命の問題を訴えるために交渉に参加しましたが、同時に、少しでも情報を得て、みんなのものにしようと努力しました。

 交渉自体に関して言いますと、はっきり言って、暗礁に乗り上げています。相当難航しています。

 しかし「公式」には、各国は10月、遅くとも年内には交渉の大枠を決めたいという姿勢を崩していません。ペルーでは、全然解決していない懸案の知的財産権、環境、労働などの問題にかなりの時間が割かれました。

 私はペルーで驚くべきことをいくつか見ました。一つは、交渉会合の外で、たくさんの企業連合が交渉官を招いてビジネス会合を開いていました。そこでは、難航する交渉にしびれを切らし、とにかく年内に交渉を妥結するように、強く圧力をかけていました。

 日本の説明と実態が食い違い

 もっと驚いたのは、その場にいた在ペルーの三菱商事の顧問が、「とにかく日本が7月に1日でも長く交渉に参加できるように」と外交官に要請していたことでした。

 さらに驚いたのは、多くの交渉官やNGOは、「日本が遅れて参加しても、まったく不利だ。たった2、3日参加しても意味はない」と言い、それはもう常識になっていることです。日本政府が言っていることと交渉の実態とはこんなにかけ離れているのです。

連帯強め交渉を葬り去ろう

 10月の妥結は不可能に近い

 私は、ステークホルダー(利害関係者)会議にも参加しましたが、NGOの質問に、交渉官はまともに答えていませんでした。私が「10月の妥結を目指しているのか」と質問し、「目指している」という答えが返ってきましたが、裏で聞くと、交渉官、業界、NGOのほとんどは「懸案事項が多いので不可能だ」と言っていました。

 さらに「日本が参加するから難しいのか」と聞くと、「日本の参加はそれほど大きな関心事ではない」といいます。自民党は「重要5品目は守る」と言っていますが、交渉の現場の人々にそれを言うと、「何を言っているのか」「それは難しい。どうやって責任をとるのか」という答えでした。すべての品目を交渉のテーブルに載せ、最終的には関税をゼロにするというのがTPPです。

 世界のNGOの仲間は、なんとかTPPそのものを葬り去ろうと努力しています。ここに私たちも合流して、日本の参加はもちろん、交渉そのものを葬り去ることに貢献していきたいと思います。一緒にがんばりましょう。

(新聞「農民」2013.6.10付)
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2013年6月

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