熱帯サバンナ農業開発でシンポ
進む土地収奪・家族農業破壊・労働搾取…
ブラジル・モザンビーク
現地から告発次々と
日本国際ボランティアセンターなどNGOは5月29日、横浜市中区の産業貿易センターで国際シンポジウム「今アフリカ農村で何が起きているのか? 日本・ブラジル・モザンビーク三角協力関係による熱帯サバンナ農業開発(プロサバンナ)を考える」を開きました。
プロサバンナ事業とは、モザンビーク北部の農業開発を支援する日本・ブラジル・モザンビークの三角協力事業のことで、3州19郡の1000万ヘクタール以上の面積をカバーするといわれています。この地域で、400万人以上が農業を営み、事業関係者にはナカラ回廊地域と呼ばれてきました。
国際NGO・GRAINのデヴリン・クイェックさん(カナダ在住)が報告。土地争奪とは、企業または国家が食料の生産と輸出をめざして自国以外で長期に大規模農地を取得することをいい、土地取引の80%がアフリカだと述べました。
次に、ブラジルNGO・FASEのセルジオ・シュレシンガーさんが発言。ブラジルでは、大豆生産のために1980年から2001年の間に30万ヘクタールの開拓が進みましたが、「100ヘクタールを耕すのに必要な年間雇用は、トマトが245人なのに対して大豆は2人で済み、雇用拡大につながっていない」と批判。家族農業の割合が、1996年は33%だったものが2006年には16%にまで半減したことを示しました。
こうしてもうけているのは、モンサント、カーギルなど多国籍アグリビジネスであり、水源になっているセラード(かん木地域)の破壊をもたらし、農薬の大量使用で飲料水が汚染され、母乳から農薬が検出されていることを報告しました。
続いてモザンビーク最大の農民組織、全国農民連合のアウグスト・マフィゴ代表とヴィセンテ・アドリアーノさんが報告。同国では、人口の7割が農村に暮らし、自給的農業を営みながら国内総生産の3割を生み出し、耕作地の9割が家族農業を営む人々によって耕されています。
「特定作物のモノカルチャー(単一)栽培に基づくプロサバンナ事業によって、農民やコミュニティーは土地収奪、強制的排除の脅威にさらされている」と強調し、「投資や開発を行うのであれば、自然に配慮し、持続可能で、地方の雇用増やコミュニティーの維持につながる小規模農業や食糧主権にもとづくものにすべきである。家族農業を支援する国家戦略が必要だ」と訴えました。
(新聞「農民」2013.6.24付)
|