「農民」記事データベース20130701-1075-01

公約違反は許さない
今度こそ選挙で
TPPにストップを

 自民党や民主党の公約違反によって、公約は選挙が終わればはがしてしまう“コウヤク”(膏薬)のようになった感があります。しかし、いま、公約をどう見るか、各党が今までどんなことをしてきたのか、しっかり見きわめるときです。


TPPに断固反対し農業・
食料を守るのはどの党か

 ■TPP反対の東の横綱 日本共産党

 日本共産党の公約は「TPP交渉参加撤回」。「貿易拡大一辺倒ではなく、関税など必要な国境措置を含めて食料主権や経済主権を尊重するルールづくり」を提案し、日本を丸ごとアメリカに売り渡す「亡国の選択」を阻止するための国民的共同を呼びかけています。農産物の輸入自由化を進めるWTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)に対し、反対を貫いてきました。

 国会論戦でも「核心をつく質疑」(醍醐聡・東大名誉教授)を連発。「TPPの問題で、共産党とJAグループは同じ目的を持っており、敬意を表したい」(JA山梨中央会・廣瀬久信会長)。

 ■「3カ月で公約違反の決断」を自慢 自民党

 自民党は、昨年12月総選挙での「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り交渉参加に反対」という公約を「交渉力を駆使し、国益にかなう道を追求する」に変更(参院選公約2013)。安倍首相は「もう議論は十分だ。行動あるのみ。政権について3か月で決定を下した」と、公約裏切りを恥じるどころか、自慢するありさま(内閣府研究所主催の国際会議)。

 だいたい、4月までに行われた日米協議で、アメリカいいなりに譲歩を重ね、日本がかちとったものは一つもない安倍政権に「交渉力を駆使」などという資格はありません。

 一方で、「Jファイル総合政策集」では「重要5品目などの聖域が確保できない場合は脱退も辞さない」としています。しかし、安倍首相も高市早苗政策調査会長も「総務省に届ける『公約』が公約であり、『総合政策集』は公約ではない」と述べました。公約の“二重帳簿”は許されません。

 また、党内で最も強硬なTPP反対派とみられていた自民党道連が21日にまとめた重点政策では「交渉脱退も辞さない」という文言がなくなり「一段と容認に近づいた」(北海道新聞)。「支持したら農業者は自分の首を絞める」。北海道のほか岩手、山形、群馬、鳥取のJAが自民党不支持を決め、態度未定も11都府県にのぼっています。

 ■早くも政権与党ボケ? 公明党

 公明党の公約は「TPP交渉と並行して日中韓・東アジアFTAに主導的に取り組み、巨大TPP(FTAAP)構築をめざす」というもの。“TPPだけを進めるのではなく、他のFTAも進めるから見逃して”というつもりかもしれませんが、気休めにもならない言い訳を公約として打ち出すところに、政権与党にしがみつくことだけが目的の公明党の本領があらわれています。

 ■政権を追放され“草食政党”になった? 民主党

 民主党の公約は「国益を確保するため、脱退も辞さない覚悟で臨む」。自民党の「総合政策集」並みです。TPP推進を言い出して政権を追放された虚脱状態から抜け出せず、そうかといって反省もできず、“草食男子”ならぬ“草食政党”のありさまです。

 ■自民党以上に自民党的悪政の先兵 みんな、維新

 一方、自民党以上に自民党的で、悪政の先兵の役割をはたしているのが、みんなの党と日本維新の会です。

 みんなの党は「TPP交渉で関税を早期に撤廃し、保護主義を禁止して、自由貿易ルールの厳守を主張していく」と公約。TPPとともに進める日中韓・東アジア・EUとのFTAもTPP並みのルールに統合すると主張しています。米を含む農産物の関税も「早期撤廃」、医療・金融などの保護主義禁止。これでは、アメリカ以上にアメリカ的な「亡国政策」です。

 「従軍慰安婦問題」をめぐる暴言が国内外の批判をあび、内輪もめ中の維新の会。公約作成どころではないのか、骨子も発表していません。全国農政連の公開質問に答えて、自由貿易の拡大に「積極的に取り組む」と公約し、さらに農産物5品目の聖域扱いについては「国内農業生産者向けの甘言」にすぎないとして、米をはじめとする農産物の関税さえ守らなくてもいいという態度です。

 かわりに、農協の解体と大企業の農業参入、競争原理の導入によって「強い農業」にすべきと打ち出しています。維新の会は農協の敵だといわなければなりません。

 ■TPP反対はご同慶の至りだが… 生活、社民

 生活の党も社民党もTPP反対を公約しています。異常な「亡国」協定であるTPPに反対するのは当然ですが、「自由貿易のためのFTAは積極的に推進する」「日中韓・東アジアFTAを進める」のは、いただけません。TPPはもともとはFTAの一種です。

 TPP推進党、みんなや維新と合流を画策してソデにされた経歴を持つ生活の党の本気度には疑問があります。

 社民党の前身である社会党はWTO協定の締結・国会批准時の政権与党であり、野党になってからもすべてのFTA協定に軒並み賛成してきました。反省の弁は一度も聞かれません。


農民連は要求します

 ○TPP参加絶対反対。日豪・日中韓・東アジアFTA(RCEP)など農業に重大な打撃となるFTA反対。食糧主権を確立せよ。

 ○米をはじめ主な農産物の生産コストを償う価格保障を確立せよ。

 ○本格的な後継者確保プロジェクトに踏み出せ。

(新聞「農民」2013.7.1付)
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2013年7月

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