TPP交渉参加
「交渉力を駆使して国益守る」どころか 
安倍政権では米さえ守れない
 TPPでは「交渉力を駆使して国益を守る」が自民党の公約ですが、米さえも守る気がないことが浮きぼりになりました。
  
  
 「聖域」中の「聖域」が 
「譲るべき分野」に
 参院選公示前日の3日、日本経済新聞が「加工米関税下げ容認」と報道しました。
 同紙によると、政府は「攻めるべき分野と譲るべき分野を明確にしておくことが必要」との認識から、「聖域」中の「聖域」としてきたはずの米までも「譲るべき分野」に入れることを検討。米の関税品目数58のうち約50を占める加工用米などを関税削減・撤廃の対象にするというわけです。 
 また、東京新聞(6月20日付)は、「政府の複数の交渉筋」が米、牛肉・豚肉、小麦・大麦、乳製品、砂糖など5分野の「聖域の半分を守れればいい方だ」と判断していると指摘。「工業製品の輸出拡大へ向けて各国の譲歩を引き出すため、『聖域』では一定の譲歩が必要だとの姿勢だ」と報道しました。 
 
  
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    「国益を守る」どころか米さえ守れない  | 
   
 
 これらの報道に対し、政府は「個別品目の対処方針について検討を行っている事実はない」(菅官房長官)と否定しています。しかし、“火のない所に煙はたたない”というたとえもあります。また、選挙が終われば投票日(21日)の2日後のTPP交渉参加に向けて大幅譲歩の「個別品目の対処方針」を検討しない保証はまったくありません。
 
 公約ひっくり返しは 
自民の常とう手段
 「ウソつかない。TPP断固反対」という昨年12月の総選挙での約束をわずか3カ月でひっくり返したように、選挙が終われば手のひらを返すのは自民党の常とう手段です。1988年には、4月の参院選佐賀補欠選挙に向け、竹下首相名で同県内全農協組合長に「農業者の心を心として農政の発展に全力をつくす」と電報を打ち、2カ月後の6月には牛肉・オレンジ自由化でアメリカに全面譲歩しました。
 アメリカでは、貿易自由化が不完全な「粗悪な協定を結ぶよりは交渉決裂の方がマシだ」(6月6日、議会の指名公聴会)と言い放つフロマン前大統領副補佐官が、新しい通商代表に就任しました。同代表はかねてから、日本など新規参加国の差別扱いを主張し、TPPルール交渉からの排除を主導してきた人物です。 
 「農業者の心を心として」どころか、「アメリカの心を心として」譲歩を繰り返すTPP推進勢力に厳しい審判が求められています。 
         (新聞「農民」2013.7.15付) 
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