「食品表示法」の勉強会
食の安全監視市民委員会代表
神山美智子さんの報告
表示基準の改善へ
意見・要望あげよう
食品表示法が6月21日に国会で成立したのに伴い、食品表示市民ネットワークは7月11日、食の安全・監視市民委員会の神山美智子代表(弁護士)を講師に、東京・四谷の主婦会館で勉強会を開きました。神山代表の報告(要旨)を紹介します。
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食品表示法勉強会で報告する神山さん(中央)=7月11日 |
消費者の利益の増進明記された
食品表示法は成立した日から2年後に施行予定です。目的(1条)には、「一般消費者の利益の増進」が明記され、これは消費者の観点にたったものです。一方、「国民の健康保護増進、食品の生産及び流通の円滑化、食品生産の振興」も明記され、これは食品事業者の立場にたったものです。
基本理念(3条)も(1)情報提供が消費者の権利であることを尊重し、消費者の自立を支援するという消費者側からのものと、(2)小規模食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響・公正な競争の確保に配慮するという事業者側の観点がうたわれています。
定められたのは表示義務だけ
今回の法律で定められるのは表示義務だけで、表示の許可・禁止、広告は含みません。対象は、酒も含む食品すべてです。表示基準(4条)は、内閣総理大臣(消費者庁長官)が定めますが、その具体的な例として、名称・保存の方法・消費期限・原材料・添加物・栄養成分の量と熱量・原産地・アレルゲンが明記されました。
また、消費者の権利であることの具体化として、担当大臣に対する申し出(12条)や適格消費者団体による違法表示の差し止め請求訴訟(11条)などが盛り込まれました。
さらに、不適正な表示に対する措置として、(1)指示と各大臣への通知(2)指示違反に対する措置命令(3)回収命令・業務停止命令(以上6条)(4)公表(7条)が加わりました。
添加物などの表示に不備あり
今後は、表示基準の不備について、改善を求めていくことが必要です。
たとえば、食品添加物は、使われている物質名を表示することが原則であるにもかかわらず、一括名表示や別名・簡略名表示が認められているため、物質名がわかりません。遺伝子組み換え表示もわかりにくく、生鮮食品の原産地表示や加工食品の原料原産地表示も非常に不自然な制度です。
消費者庁は、具体的な表示基準について、消費者委員会に諮問するとしています。表示制度の改善について、消費者庁や消費者委員会に意見、要望を大いにあげましょう。
(新聞「農民」2013.7.29付)
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