「農民」記事データベース20130916-1085-02

米価下落 TPP
農民連が農水省交渉

 各地で深刻な米価暴落の事態をうけて、農民連は9月3日、農水省に対し、米価下落とTPP参加問題について要請を 行い、秋田、岩手、福島、埼玉の各県からも農家や県連役員らがかけつけました。


米価下落緊急に対策をとれ

不足分の追加買い入れを実施せよ

 米価下落問題については、(1)5年以内の米で100万トン備蓄のルールに従い、不足分の買い入れを緊急に実施すること(2)集荷円滑化対策での農家拠出金の活用など民間の隔離対策を強力に支援すること(3)米の消費を拡大するための取り組みを強化すること――を要請しました。

 冒頭、農水省は「需給調整のための備蓄米買い入れはしない。2013年産は、播(は)種前契約で買い入れ済みだ」と明言。

 農民連ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長は「今年4月ごろを境に業者間取引価格が急落した。今年産の各地のJAの概算金も前年を3000〜4000円も下回っている。農家は『米作ってメシ食えない』事態だ。農家だけでなく在庫を抱える業者も事態は深刻だ」と指摘し、「備蓄米は25万トンの買い入れ余地がある。播種前契約の方式は崩壊した民主党政権の政策だ。秋に追加的な買い入れを行うべきだ」と迫りました。

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米価下落とTPP参加問題で要請する農民連の代表

 農水省は「生産コストの4割削減をめざし…」などと口走ったため、「米価に合わせて安く作れということか」と参加者からいっせいに非難の声が上がりました。

 「需給状況、作柄をみて9月末ごろに判断する」と言うだけの農水省に対して、農民連の笹渡義夫事務局長が「9月末になったら対策をとるのか」と追及すると、農水省は言葉を濁して答弁を避けました。

 横山事務局次長は、「わずかな過不足で米価が乱高下する最大の要因は政府が需給の安定に何の対策もとらない姿勢にある。市場任せの『米改革』路線の破たんは明白だ。政府が米の需給と価格の安定に責任をもつ政策に抜本的に改善せよ」と強く求めました。


TPP交渉からの離脱を

政府は交渉の中身を公表せよ

 TPP参加問題では、(1)TPP交渉と日米2国間交渉の内容を公表するとともに、「秘密協定」そのものを公表すること(2)与党の選挙公約や衆参農水委員会の決議を順守し、農産品5品目の関税撤廃が除外できない場合は交渉から離脱すること――を要望しました。

 農民連の笹渡義夫事務局長が「政府は8月のブルネイ会合で5品目の関税撤廃を主張したのか。農水省も国会決議を踏まえて対応するのか」とただしたのに対し、農水省は「主張したかどうかは交渉の中身なので言えない。政府は守れなければ離脱とは言っていない」と答弁しました。

 福島県農民連の亀田俊英会長が「8月に県内のJAや農業団体を回り意見交換をしてきた。交渉内容がわからないことへの不満が出されるとともに、みんな『5品目を守れないならば離脱』ということに期待している」と現場の声をぶつけました。

 笹渡事務局長は「国民主権の下で、TPPが国民生活にどのような影響をもたらすのか、そのことに対して国民自ら判断と選択をする権利をもっているのは当然のことだ。この当たり前のことさえ守れないTPP交渉は異常そのものであり、撤退する以外にない」と強く抗議しました。

(新聞「農民」2013.9.16付)
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2013年9月

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