再生可能エネルギーで
地域再生・地域おこし
再生可能エネルギー普及
全国フォーラム in 大町
関連/フィリピン台風被害救援募金のお願い
再生可能エネルギー普及で地域づくりをすすめようと、11月16、17の両日、「再生可能エネルギー普及全国フォーラムin大町」が長野県大町市で開催され、全国から150人を超える参加者が集いました。農民連も参加する同全国フォーラム実行委員会が主催しました。
地域資源生かして地元に
利益を循環させよう!
原発依存からの脱却をめざして
1日目の全体会では、日本共産党の前衆議院議員の吉井英勝さんが「原発依存から抜け出し、自然エネルギーで地域経済の再生を」と題して記念講演。つづいて開催地となった長野県大町市のNPO法人「地域づくり工房」代表の傘木(かさぎ)宏夫さんが、「再生可能エネルギーで地域おこし」をテーマに特別報告しました。
傘木さんは、「市民から仕事をおこそう」と、「地域づくり工房」の発足から半年間、仕事おこしワークショップを連続して開くなかで、「地域のなかのまだ生かされていない資源」を洗い出し、その結果として、ミニ小水力発電や、菜の花エコプロジェクト(ナタネ栽培と廃食油をつかったバイオ軽油)といった再生可能エネルギーに取り組むようになった経緯を報告。「初めから再生可能エネルギーありきではなく、地域の資源を生かして、地域内でお金や資源が循環する仕組みをどうつくるかという模索のなかから、再生可能エネルギーにつながっていったということが大切」と強調しました。
市民の出資で初期投資を調達
2日目は3つの分科会((1)入門講座、(2)自治体関係者向け、(3)経験者向け)に分かれて討論しました。
傘木さんを助言者に迎えた第3分科会では、福島県農民連の佐々木健洋さんが、福島の現状や、県農民連の太陽光発電の取り組み、木質バイオマス活用への展望などを報告しました。
また、愛知県を拠点に、中小企業家が中心になって設立した「おひさま自然エネルギー株式会社」の佐藤典生さんが報告。市民ファンド(出資)を集めて、公共施設や工場などの屋根上に太陽光発電を設置する「おひさま発電プロジェクト」などを紹介しました。
市民の力で太陽光発電などに取り組もうとする際に障害になるのが初期投資の調達ですが、同社は元自治体職員で行政書士でもある佐藤さんの専門知識をフル活用し、第2種金融商品取引業者の認定を取り付けることで、全国から出資を募ることが可能になりました。佐藤さんは「第2種金融商品取引業者は専門的な知識も必要で、誰でもすぐにまねできるというものではなく、今後は自然エネルギーの普及に向けて、東北、関東、関西…などと地方ごとに、市民運動として有資格者を育成していくことも必要ではないか」と投げかけました。
地域外の企業に乱開発させない
会場から、農地転用について質問が出され、佐々木さんは「耕作できる農地は、農地として食糧を生産するのが本分。荒廃して耕作できないような農地は、地域外の企業が乱開発したりしないような一定のルールのもとで、きちんと農地転用してエネルギー生産する道もあるが、売電できれば何でもよいのではなく、どうすれば地域にとってプラスになるのかという点が重要だと思う」と述べました。
また、ゼネコンなど大企業によるメガソーラー(出力1メガワット以上の大規模な太陽光発電)の建設が全国的に拡大していることに対して、「今こそ“地域の資源は地域のもの”と声を上げることが大切。小規模分散型で、地産地消で使用し、利益が地域に還元されることが、真の再生可能エネルギー普及だ」という意見が数多く上がりました。
フォーラムは最後に全体会を開き、集会アピールを満場の拍手で採択し、閉会しました。
全体会に先立って、「地域づくり工房」が取り組んでいる2カ所の小水力発電と、廃食油を使ったバイオ軽油の精製工場などを見学しました。
くるくるエコプロジェクト(ミニ小水力発電)
北アルプス山麓の扇状地に広がる大町市は、豊かな水資源に恵まれ、先人たちが築いた農業用水路が網の目のように張り巡らされています。「地域づくり工房」では、この水の流れを生かして、3つのミニ小水力発電が行われています。課題は水利権の許可申請でしたが、1年半かけて許可を取り付け、2003年の発電にこぎつけました。
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ベトナム製の発電機を導入した駒沢ミニ水力発電所 |
傘木さんは「再生可能エネルギーは、とにかく実践してみることが肝心。実践することで課題もわかり、世の中を変える一歩にもなる」と強調していました。
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自宅前の道路脇を流れる小水路に、自前のらせん式水車を設置した川上ミニ水力発電所。オール電化と蓄電バッテリーを組み合わせ、発電した電気は売電せず、自家使用している |
菜の花エコプロジェクト
廃止されたスキー場や休耕田、温泉街から出る廃食油などが「生かされていない地域資源」として見直され、プロジェクトが始動。廃食油を回収しバイオ軽油に精製し、市のごみ収集車、トラクターなどで使用されています。また、菜の花農業生産組合が廃止されたスキー場でそばとナタネを混作し、注文搾油(受注してから搾油する)方式でナタネのヴァージンオイル(搾ったままの無添加の油)として商品化されています。
フィリピン台風被害
救援募金のお願い
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農民連は、台風30号による甚大な被害を受けたフィリピンの被災者救援募金に取り組みます。ビア・カンペシーナ東南・東アジア事務局の呼びかけに応えたものです。
フィリピンのビア・カンペシーナ加盟組織と連帯組織は、農民と貧しい人々が最も被害を受けているとして、現地で救援活動を展開しています。
募金への心からのご協力を呼び掛けます。
振込先口座
ゆうちょ銀行 総合口座 記号10030 番号61671711
(他の金融機関から振り込む場合は、ゆうちょ銀行 店名008 普通6167171)
口座名義 農民連災害対策本部 |
(新聞「農民」2013.12.2付)
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