民主主義を根底から破壊する
「特定秘密保護法案」の強行採決に
断固抗議し、廃案を要求する
2013年11月27日
農民運動全国連合会会長 白石淳一
関連/汚染水解決へ 英知集めよう
安倍政権は、26日午前の衆議院国家安全保障特別委員会で特定秘密保護法案の審議を一方的に打ち切り、自民、公明両党とみんなの党の賛成多数で可決した。同日、衆院本会議でも採決を強行した。
憲法で保障された「国民主権」「基本的人権」「知る権利」を真っ向から否定する暴挙であり断じて容認できない。
この悪法に多くの国民、マスコミ、著名人など、広範な人たちが反対の声をあげ、その声は日に日に高まっている。こうした世論を無視し、まともな審議も行わないまま採決を強行した自民、公明、みんなの党の暴挙に対して断固抗議し、撤回を求める。
この間、自民、公明、みんなの党、日本維新の会は、国会の審議をそっちのけにし、密室で修正協議を繰り返し、法案をさらに悪くする修正を行った。法案は、行政機関の長の判断で「特定秘密」を恣意(しい)的に決め、「特定秘密」に触れたり、取材、報道、調査すれば公務員に限らず一般国民も厳罰に処するものである。
「特定秘密」の範囲も、政府にとって都合の悪い原発やTPP交渉なども対象にされかねない。また、特定秘密が修正協議によって最長60年となり、永久に公表されない仕組みもつくられた。
まさに、国民の知る権利や表現の自由を奪う現在版の治安維持法であり、戦前の暗黒政治に逆戻りさせようとするものである。
米国と軍事機密を共有し、国民に隠して米国とともに戦争する国づくりを進めるための「特定秘密保護法案」は、廃案にするしかない。
法案を阻止するたたかいは参院に移された。農民連は、平和や民主主義を守ろうとする広範な人びとと力を合わせ、違憲の特定秘密保護法案の廃案のため全力をあげて奮闘するものである。
福島原発事故 日本共産党がシンポ開く
福島第一原発の汚染水問題を、さまざまな視点から検証しようと、11月21日、日本共産党が国会内でシンポジウムを開きました。日本共産党の志位和夫委員長があいさつし、「“放射能で海を汚さない”ことを基本原則として確立し、解決のために立場を超えて英知と総力を結集しよう」と訴えました。
電力中央研究所で主任研究員をつとめ、長年にわたってダムや発電所などの地下水工学を研究してきた本島勲さんは、国と東電が進めている凍土遮水壁による汚染水対策について、「世界中を見ても、これほど大規模にやった例はない」と述べ、「地下水の上流部分にトンネルを設置するなどして、汚染されていない状態で地下水を海へ排水し、原発下に流れ込む地下水を抑制してはどうか」と提案しました。
立命館大学教授の大島堅一さんは、環境経済学の立場から発言。大島さんは、損害賠償の費用も金融機関や株主は無傷のまま国民が実質負担していると指摘し、「汚染水対策や損害賠償などの事故処理には、まず東京電力の法的処理をすすめる(そのなかで銀行の貸し手責任や株主責任も問われる)ことが必要で、そのうえで事故を発生させた責任に応じて、政府を含めた費用負担があるべきだ」と述べました。
(新聞「農民」2013.12.9付)
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