“東電は無念の声聞こえぬか”
原発ゼロ署名28万余提出
福島県農民連
ふくしま復興共同センター
事実上の原発の永続的使用を定めた新エネルギー計画を、閣議決定してから10日あまりたった4月22日、福島県農民連とふくしま復興共同センターは「原発ゼロ100万人署名」の提出をはじめ、政府と東京電力との交渉などの行動に取り組みました。
行動には300人を超える参加者がバス7台で上京して参加。行動の前半は、福島県農民連とふくしま復興共同センターが共同して、東京電力本社前での抗議行動、国会への請願デモ、署名提出集会を開催しました。
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議員に署名を手渡し、エール交換するデモ参加者 |
東電本社前では、浪江町から避難している馬場靖子さんが訴えました。「原発事故の後、親しい人をたくさん亡くした。国・東電はこの人たちの無念の声が聞こえませんか。原発再稼働なんて絶対許せない。その分のお金を収束と復興に回して!ふるさとを返して!」との訴えに、参加者は涙をぬぐいながら「そうだ!」という掛け声をかけていました。
国会内で開かれた署名提出集会では、28万3000人余りに及ぶ第1次提出分の署名を提出しました。
国は福島の農業に責任もて
福島県農民連
独自に政府・東電交渉
行動後半の交渉は2グループに分かれ、福島県農民連は独自で東電、経済産業省、農水省と交渉しました。
福島県農民連は、2013年産米の速やかな賠償、検査機器の購入費用や検査費用の賠償、農家の健康被害の調査と対策、実測検査による農地一筆ごとの土壌汚染マップの作成などを要求しました。
しかし、2013年産米の賠償については「遅くなって申し訳ない。連休明けの週に賠償基準を示す」(東京電力)と回答したものの、それ以外の要請項目については、東電・両省庁ともに「賠償しない」「やらない」という回答に終始しました。
とくに、米の検査機器の購入費用と検査費用については、1時間を超える激しい応酬が続きましたが、東電と経産省は「米は国・県による全袋検査が行われており、業者や消費者から求められた場合でも、自主検査は賠償しない」という従来の回答を一歩も出ない姿勢を崩しませんでした。
また農水省も「100ベクレル以下の米なら安全だという消費者への宣伝が必要」などと述べて、東電と経産省の姿勢を追認。農民連が、福島県が昨年末に実施した全袋検査に関する意識調査で、47〜53%の集荷・卸・小売業者が「信頼性は低いまま」と回答していることを指摘しても、農水省は何一つ明確な回答をせず、会場は「農水省ともあろう省庁が、福島の農家を応援する気がないのか」という激しい怒りの声に包まれました。
福島県農民連の根本敬事務局長は、「私たちは福島で暮らし続け、若い世代に農業を引き継いでいかなければならない。賠償で対処できない課題は国の政策として位置付け、福島の農業を応援してほしい」と、要求しました。
(新聞「農民」2014.5.5付)
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