譲歩に譲歩重ねるTPP交渉
即時撤退を 協議内容を明らかにせよ
TPP・大雪被害・PED対策
農民連が農水省に要請
5月19、20日にシンガポールで開催されるTPP交渉の閣僚会議を前に、農民連は5月16日、農水省と交渉を行いました。
部分合意はない一切の開示拒否
今回の交渉では、TPP交渉と日豪EPA(経済連携協定)、大雪被害対対策、PED(豚流行性下痢)対策の3点について要求しました。
TPPについては、日米協議の内容を開示することや、報道されているような譲歩を行ったとするなら撤回すること、日豪EPAの「大筋合意」は明確な国会決議違反であり撤回することを要求。
農水省は、「TPPについては交渉ごとなので内容は言えない。合意は“パッケージ”でするので、報道のような部分合意ができているということはない」と、一切の情報開示を拒否。また日豪EPAについて、「国会決議違反だとの批判もあるが、違反かどうかは国会が判断すること。『大筋合意』しても発効するには、国会での批准が必要であり、本当に違反だということであれば、批准しないということも選択肢の一つ。TPPも同じだ」などと述べました。
この回答に、農民連は「甘利明TPP担当大臣が“関税削減の比率と期間をどうするかが今後の交渉課題だ”と発言しているではないか。関税削減を前提に交渉すること自体が、国会決議違反だ」と詰め寄りましたが、農水省は「それは国会決議をどう解釈するかの問題だ」などと開き直り、農民連からいっせいに「国会決議をねじ曲げている。国会の決議文には解釈の余地などない」という強い抗議の声が上がりました。
なおも「違反かどうかは国会が判断する。批准するのも国会で…」などと言い募る農水省に、農民連は重ねて「国会決議をねじ曲げることなく、守るべきだ。守れないなら交渉から撤退すべきだ」と要求しました。
工事終了後に再建費全額助成
大雪被害対策
大雪被害対策については、政府の再建支援策の運用改善を求めました。ビニールハウスの再建工事の助成金は、工事終了後に交付されることになっていますが、多くの被害案件を受注している施工業者は、前払い金がなければ着工せず、各地で再建が遅れています。交渉では、「工事が終了するまで前払い金を立て替え払いしたりしないでくれと市の窓口で言われた」などの実例も出され、市町村によって対応がバラバラであることが指摘されました。
これに対し、農水省は、「着工時の前払い金を自己資金や借入金で手当てした場合でも、工事終了後に、再建費用は全額、国と県・市町村で助成する」と回答。農民連が「ぜひそれを市町村や、金融機関などに周知徹底してもらいたい。そうすれば借り入れもずっとしやすくなる」と重ねて求めると、「実態を調査し、文書で周知徹底していきたい」と応じました。
農民連はまた、高齢化で作れなくなった農家から借りているハウスの再建費用も助成対象とすることを求めましたが、農水省は「それは難しい」と答えました。
養豚農家任せの対策では不十分
PED対策に関しては、ワクチン投与や消毒・衛生管理費用、死亡豚処理などへの支援措置を要求しました。農民連は「まん延が止まらないということは、今の養豚農家任せの対応では、不十分ということだ。死亡豚の処理だけでも1頭数千円もかかる。農家の自助努力だけでなく抜本的な支援策が必要だ」と、求めました。
(新聞「農民」2014.5.26付)
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