2014年農民連全国研究交流集会
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1945年の敗戦と同時に農地改革が始まりましたが、村の農民たちは、合わせて700ヘクタールに及ぶ自主的な農地開発の計画を立てていました。そのなかでも農地の少ない水内地区では、49年から17年の歳月をかけて、裏山の頂上、標高1000メートルに有効貯水量136万トンの貯水池を造り、水内地区一円に配水して、約90ヘクタールの水田開発を成し遂げました。農民や住民の自主的な活動を支える政策基盤がしっかりしていれば、農業・農村の持続的な発展は必ずできます。
62年に旧栄村農民組合が結成され、道路の雪踏みや学校の除雪に賃金を支払うなど組合員や住民の要求を逐一取り上げ、関係機関に粘り強く改善を訴えてきました。
私は88年に村長に就任し、村政の基本方針は「住民のもっている知恵や技を生かし、育てることを大切にする住民自治の村政」です。農家主導で棚田地域の地形に合わせて農家が使いやすいように区画整理する「田直し事業」を始めました。
ほかに「道直し事業」「下駄ばきヘルパー事業」など住民が直接関与して進めています。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は、今世紀末までに気温上昇を2度未満に抑えないと取り返しがつかなくなると予測しています。原発に頼らずに、2度未満に抑えよう、自然エネルギーを普及しようと動き出したのが、NPO法人まめってぇ鬼無里です。
私たちのプロジェクトで調査したところ、中山間地の鬼無里でも化石燃料、とくに灯油を暖房や給湯にすごくたくさん使っています。人口約1600人の地域で、1年間の灯油使用量はなんと85万リットルにおよび、8500万円もの金額が地域外に流出していました。
一方、鬼無里の地区面積の95%は森林です。そこで薪(まき)ステーションをつくって、森林組合の隣地に山積みになっていたカラマツ材で薪を生産し、脱化石燃料と雇用創出をはかることにしました。しかし薪の活用先がなかなか見つからず、ネックになっています。
そこで今は、150キロワットの太陽光発電の設置計画を進めていて、11月の発電開始を目指しています。この太陽光発電の売電収益を地域ガバナンス(管理・保全)の活動資金にすることで、「自分たちの地域は自分たちで守る、自分たちで再生する」という「鬼無里モデル」を構築したいと考えています。
[2014年8月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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