原発も温暖化もない未来つくろう
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これまでに経験のない集中豪雨、記録的猛暑による米の品質低下、穀物輸出国での歴史的干ばつ――私たちはいま、気候変動の影響を毎年、毎日、実感する時代に足を踏み入れつつあります。しかしこれはまだ気候変動の“序章”にすぎず、今後、さらに気候変動の影響が深刻になると、国連の科学者組織、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は強い警告を発しています。
今年末には、フランス・パリで、2020年以降の温暖化防止の国際的な枠組みを話し合うCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)が開かれます。世界各国が積極的な目標を掲げるなか、日本はどう温暖化防止に取り組むのか。安倍政権の姿勢が鋭く問われています。
現在の世界の年平均気温は、産業革命以前に比較して0・85度上昇(日本は1・15度上昇)。温暖化対策をとらずに今のままのペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末の気温上昇は3・7度から4・8度になると予測されています。
そして、2度以上、上昇すると、穀物生産が悪影響を受け、3度以上の気温上昇で生物多様性や世界経済全体に取り返しのつかない影響が起こり、4度以上、上がると、気候変動の影響に対する対処(適応)の限界を超えてしまうと警告しているのです。
こうした被害の深刻さから、世界ではいま、気温上昇を「2度未満」に抑えることが目標となっています。今回のIPCCの報告書は、さまざまな分野、地域などの事例を挙げて、2度未満に抑えることができれば、取り返しのつかないような影響はかなり軽減できることをくりかえし示し、「2度未満」に抑える重要性を訴えました。
ではどうすれば、気温上昇を抑えられるのか?
第5次評価報告書では、この「2度未満」に抑えられる道は残されているものの、2050年までに全世界の温室効果ガスの排出量を40〜70%削減(2010年比)する必要があり、2030年までの温室効果ガスの削減を遅らせると、2度未満に抑えることは難しくなってしまうという、厳しい道筋を示しました。
2020年以降の削減目標を話し合う今年末のCOP21は、人類の未来、生存にとって、「歴史の分かれ道」となるような、決定的に重要な合意となるのです。
EUは「2030年までに域内で40%削減(1990年比)という拘束力ある約束」を掲げ、化石燃料と決別する意思を示しました。アメリカは「2050年までに80%削減という長期目標に沿うよう削減ペースを加速し、当面、2025年に26〜28%削減(05年比)」という目標を発表しています。
気候変動枠組み条約には、温室効果ガスを大量排出しながら経済発展を進めてきた先進国がより重い責任を負うという「共通だが差異ある責任」という基本原則があります。COP21の場で先進国と途上国の対立を乗り越え、すべての国が参加する2020年以降の新たな国際的枠組みを築くうえでも、先進国が高い目標を掲げることが、今こそ重要です。
[2015年5月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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