「農民」記事データベース20150608-1168-10

旬の味


 新緑の5月、雑草茂るわが家の庭に白い可憐な花が咲き始めた。どくだみの花だ。引き抜くと、むっとするにおいが漂うが、私は好きだ▼白い花を一つ一つていねいに摘み取って、焼酎に漬けておく。その液を塗ると体のかゆみがピタリと止まるから不思議だ。わが家では、冷蔵庫の消臭、トイレ、洗面所の小さな花びんに飾られてと大活躍。「立派などくだみは、干してお茶にしなさい」という、おじさんの助言に、お茶になる日を待って、日かげにぶら下がっている▼どくだみに限らず、さまざまな木葉、木の実、草の実など、旬と自然の姿が周りにはいっぱいあることに気づく日々。しかし今、それが危機的な状況にあることも事実である。先人たちの知恵や思いをしっかりと受け止め、次代に引き継ぐ。それもまた、今の私たちに課せられた責務だと思う▼便利さの追求のなかで、ときには立ち止まる勇気ももちながら、歩んでいきたいと思う。日本の自然の素晴らしい姿を次代に伝えるため、残していくためにも。

(え)

(新聞「農民」2015.6.8付)
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2015年6月

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