埼玉県産直協同・試験研究センター
肥料・資材の簡易試験実施中
業者購入した種子と培土の
発芽不良と苗の生育不良を解明
農家の購入したネギ種子の発芽不良と苗の生育不良が生じたにもかかわらず、購入代金を請求され、問題解決のため、埼玉産直協同・試験研究センターに試験依頼がありました。試験研究センターでは、農家の使う肥料や農薬、発育促進資材など要望に応じて机の上や畑で簡易な方法を用いて試験を行っています。
ネギ種子は、K種苗から「龍ひかり2号」を培土付きで購入したものです。
試験にあたっては、発芽試験用種子に「はつか大根」と「万能小ねぎ」を用い、ネギ培土と購入した市販の汎用培土と比較し、ネギ培土については残留農薬分析と土壌分析を行いました。
発芽試験は、9センチのプラスチックシャーレに培土を入れ加水し、種子をまき、翌日から観察しました。残留農薬分析は、農民連食品分析センターに依頼。土壌分析は、カインズホーム(1件500円)に依頼しました。
商品の欠陥明らか
あきらめず相談を
発芽試験の結果は、市販の培土と比較し、ネギ培土では明らかに大根・ネギ種子とも発芽不良が観察されました。
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左が発芽不良のはつか大根・ネギ培土。右が発芽したはつか大根・市販培土 |
残留農薬は、不検出。土壌分析では、EC(電気伝導度)、肥料分が高く培土としては不適と判定されました。
また、ネギ培土に水分を過剰に入れると発芽抑制物質が溶出し、顕著に発芽抑制が生じました。
試験にあたっては、生産者とよく相談し、費用のかからない簡易な方法を選択しました。試験結果から購入した培土付きネギ種子商品の欠陥が明らかとなり、売り主の代金請求(80万円相当)に試験結果を提示して、発芽不良だったことを配慮するよう求めました。
今回のように購入した種子が発芽しない例は結構あるようで、あきらめず相談してほしいと思います。
農家経営が困難な折、誇大宣伝で科学的に不確かな資材を高額で購入するのを防ぎたいものです。
(埼玉県産直協同 立石昌義)
(新聞「農民」2015.8.10付)
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