「農民」記事データベース20160104-1196-09

TPP・低米価の厳しい状況下
特産の豆をフル活用

丹波を元気に

今年は国際豆年

関連/黒大豆のおひねり

 2016年は国連が定めた国際豆年。特産の豆で生産や加工に力を入れ、地域の活性化にも貢献している取り組みを紹介します。


兵庫県丹波市

 豆の特産化に生産面で貢献

 兵庫県の中央東部で京都府に接している丹波市。急峻な山々によって囲まれた中山間地域です。山に挟まれながら、南北に伸びる低地帯があり、豊かな水は土地を肥やし、たくさんの農産物を育んできました。丹波栗、丹波大納言小豆、丹波黒豆、丹波米などは全国に誇れるブランドです。

生産・加工に力を入れ
丹波のおいしさ伝える
新しい商品も開発して

 豆の特産化に生産の面で貢献しているのが東芦田営農組合(約100人)。組合員の芦田廣さん(62)=丹波氷上農民組合会員=は、稲作を中心に、大豆、小豆、キャベツ、ジャガイモなどをつくっています。

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「黒大豆、小豆をブランドに」と意気込む芦田廣さん

 芦田さんは、豆の栽培や収穫、脱粒作業などを営農組合のみんなと行います。毎年、黒豆は6月上旬頃に種をまき、はじめに10月頃に枝豆として刈り取り、残ったものを黒豆として12月に収穫します。小豆は、7月上旬に種まき、11月中旬に収穫します。「畑に水がたまらないように排水も大事。鳥獣害にも悩まされながら、ようけい(たくさん)取れたときはうれしい」と顔をほころばせます。

全国に訪れる黒大豆の在来種を生産
栽培・収穫・脱粒作業を協力

 黒豆は、丹波黒大豆「兵系黒3号」。県農事試験場がこの地で栽培されていた黒大豆の在来種を取り寄せ、品種化しました。

 営農組合で組合長を務める芦田淺巳さん(丹波氷上農民組合委員長)は「TPPや低米価のもとで、農地の維持・管理、農家の経営を成り立たせるためにも、豆、小豆の作付けをもっと増やし、特産物として付加価値をつけていきたい」と意気込みます。

加工支えるお母ちゃんグループ
素材生かし安全・安心手づくり

 地元の味伝える拠点「四季菜館」

 特産の豆を加工の面で支えるのが、お母ちゃんたちのグループ、氷上つたの会。理事長の秋山佐登子さん(丹波氷上農民組合会員)は、「地元の素材の味を生かした丹波のおふくろの味を届けるため、添加物を一切使わず、手間暇を惜しまない加工活動をしています。安全・安心の手づくりの味で、周りからも信頼されています」と胸を張ります。

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「丹波の味をみなさんに」と、いつも元気な氷上つたの会のみなさん。左から3人目が秋山さん

 1993年に結成された地域内の複数の生活研究グループが96年にまとまって本格的にスタートしました。2004年には加工品の販売拠点となる直売所と喫茶コーナーを併せ持つ「四季菜館(しきさいかん)」がオープンし、07年に企業組合として法人化を実現しました。

 丹波大納言小豆使用の赤飯、ぜんざいの素、みそなど豊富な豆料理をはじめ、開発・生産する加工品は30品目を数えます。最近では、「四季菜館」での販売に加え、各種イベントに出品するなど、丹波の味を伝える重要な役割を担っています。

 秋山理事長は「地元の食材をフルに活用し、多くの人に丹波のおいしさを伝える新しい商品を開発していきます。こうして農村・農家を元気にしていきたい」と力を込めます。


黒大豆のおひねり

・材料

 黒大豆煮豆または枝豆 30粒
 ギョーザまたは春巻の皮 15枚または4枚
 チーズ 80グラム
 揚げ油

・作り方

 (1)黒大豆は少しうす味の煮豆を準備しておく。
 (2)チーズは5ミリ位の角切りにしておく。
 (3)春巻の皮なら1/4の四角に切っておく。皮1枚の中心に黒大豆を2〜3粒とチーズを一切れ入れ、皮で包んでおひねり状にする。
 (4)中温の油でからっと揚げる。
 ※煮豆から作る場合は、(1)豆を洗って一晩水につける。(2)塩を少し加えてたっぷりの水でゆでる。(80分位)

・料理メモ

 中に入れる黒豆は、甘煮を使うとおやつ風、塩味の枝豆やゆで黒豆を使うと酒のさかなにもなる。春巻の皮の方が、ひねったとき、角が出て、きれいに仕上がる。ひねったところがくっつきやすいようにその部分を水でぬらして、上部を広げるようにしておく。油で揚げながら、はしなどで形をととのえる。

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黒豆の煮豆

(新聞「農民」2016.1.4付)
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2016年1月

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