「農民」記事データベース20160201-1199-14

浜の一揆訴訟

盛岡地裁で第1回口頭弁論


小型漁船にサケ刺網漁許可を
後継者に展望与えてほしい

 小型漁船漁業者が刺し網によるサケ漁の許可を求めて起こした「さけ刺し網漁不許可取り消し・許可義務付け請求訴訟」の第1回口頭弁論が、1月14日に盛岡地方裁判所で行われました。

 傍聴もふくめ、この日の行動には原告団100人のうち34人が参加。原告を代表して瀧澤英喜さん(岩手県漁民組合副組合長)と原告代理人の澤藤統一郎弁護士が意見陳述を行いました。県側は答弁書をもって擬制陳述とするとのことで、出席しませんでした。

 瀧澤さんは「とれる魚が激減する9月から11月、唯一頼りになるのがサケ。数少ない若手ががんばっていますが、このままでは、とても家族を養っていけません。サケをとれれば、後継者が続けていく展望も持てます」と、切迫した実態を訴えました。

 報告集会で県答弁に漁民から怒りの声

 口頭弁論の終了後、原告団は報告集会を開催しました。

 原告団長の藏徳平さん(岩手県漁民組合組合長)は「後継者のことを考えても、サケ刺し網漁は欠かせない。早く認めてほしい」とあいさつ。田野畑、陸前高田、大船渡と、それぞれの浜の漁師が「去年はとれる魚が本当に少なかった。このままでは漁を続けられない。サケをとれるかどうかにかかっている」と深刻な実態を語りました。

 大船渡市三陸町越喜来(おきらい)の刈谷剛さんは「多くの漁協の自営定置網は、漁協という組織を守るためのものになってしまっていて、漁民のためになっていない。放流事業だって漁民みんなのためのものなのに」と強調しました。

 県の答弁書は、「原告の請求をいずれも棄却する」というもの。澤藤弁護士は「県側は、これまでもサケ刺し網許可をなぜ不許可とするのかを示してこなかった。今回の答弁書も、まったく同じ」と憤ります。長文であるにもかかわらず、刺し網漁を認めればサケ資源が枯渇するとか、定置網の漁獲が大幅に減るといった根拠を示していません。参加した漁師からも「こんなふざけた答えがあるか」と怒りの声が次々に出されました。

 意見交流の結びに、越喜来の熊谷善之さんが語りました。「サケをとらせろという願いは長年の悲願。おやじの代から、まさか三代にわたってサケをとれないとは。訴訟までこぎつけて展望が開けてきたが、ここまで長引かせた県に怒りを感じる。サケをとれるよう、最後までがんばろう」

 次回の口頭弁論は、震災発生から5年を迎える3月11日です。

(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2016.2.1付)
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2016年2月

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